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院長の独り言 308 ; 高尾山へ日本国の安寧を祈願に行きました

寒さが本格的に厳しくなってきました。
311の後、その後遺症で、何も考える事が出来ず、自然の力にただ、ただ驚いて、あれよ、あれよと呆然としているうちに、クリスマスも過ぎてしまいました。
12月28日(水)午前で、今年の診療は終了。
午後は大掃除と忘年会です。
例年は、一年間、無事で、ホッとした気分でこの日を迎えるのですが、今年は無事に終わったにも関わらず、ホッと出来ない心境なのです。
昼休みになるのを待って、息子と山森君とたまたま用事で来た業者の社長さんと小生とで、高尾山に、この国の未来の無事と発展を祈願しに、早足で出向きました。
寒いにも関わらず、大勢の人が信仰の山である高尾山に登って来ています。
去年はニコニコしている人が多かったのですが、今年は、口を『への字』にしている人が目立ちます。
日本人の優しさと真面目さに感じ入ります。
皆さん、大震災で犠牲になられた方の冥福と、被害に合われた人達のいち早い立ち直りを考えているのでしょう。
高尾山薬王院と成田山新勝寺と川崎大師は、真言宗智山派の大本山として有名です。
不動明王が祀られています。
われわれも本堂で手を合わせた後、山道沿いの食堂で蕎麦とおでんを食べました。
『竜(たつ)年が、少しでも明るい年になって欲しい…』と願いつつ診療所に戻ったのでした。
大掃除を終えた後は、例年通りの忘年会です。
場所は、いつもの割烹料亭ですが、今年はお客が少なく感じました。
やはり、大震災の影響を受けて、世の中、自粛ムードなのでしょうか。
こう云う時こそ、元気を付けようと、忘年会では、石川歯科で初めての企画『ビンゴ』をやってみました。
思った以上に大受けで、女性スタッフは賞品が当たるたびに大歓声を上げていました。
今年もスタッフ全員、懸命に業務に励んだので、皆の顔も生き生きとしています。
お酒も入り、ワイワイ楽しそうに話も弾み、一時(いっとき)は、大震災も忘れてしまいました。
今年も、来院していただいた多くの患者さんに心より感謝すると同時に、来年も宜しくお願いします。

院長の独り言 307 ; 口腔清掃の重要な冬場

口の中には、ざっと数千億もの細菌が存在します。
400種類を超えると細菌学者は述べています。
細菌の中には、色々な感染症を引き起こす病原性のある細菌が含まれています。
食べ物と一緒に、その細菌が胃に行ってしまえば、大した問題にはなりません。
塩酸である胃酸で消化されてしまうだけですから…。
しかし、気管に食べ物が迷入したりすると大問題です。
特に高齢者になると、誤嚥(ごえん)を起こしやすくなります。
誤嚥とは、口の中の唾(つばき)や食べ物が、誤って肺に行ってしまう現象です。
通常、誤嚥して気管に入りかかった食べ物や唾液は、反射的にむせて吐き出せます。
ところが、気管の入り口の喉頭蓋(こうとうがい)の機能が衰えた場合、特にお年寄りは、その反射が上手く機能しないのです。
その時、口の中に、肺炎を引き起こす肺炎球菌が存在して(口の中にはよくいる菌です)、その菌を含んだ唾液が肺に入ってしまうと、誤嚥性肺炎を起こすのです。
常日頃、正しい歯磨きをシッカリして、唾液に含まれる細菌の量を減少させる事が、大切なのです。
歯磨きを怠っている人は問題外ですが、誤った歯磨き法では口の中の細菌の量は減りません。
誤った歯磨きでは細菌を減らすどころか、大切な歯肉も傷めつけてしまうのです。
空気の乾燥している冬場は、特に口腔清掃が肝心です。
風邪ウィルスや雑菌が、乾燥した空気に乗って、移動しやすいのです。
健康を保つには、外出後にはうがいや歯磨きを励行して、口の中を清潔に保つことです。
最初の入り口で防衛していれば、風邪になる確率も、かなり減少するのではないでしょうか。
若い人は、誤嚥はともかく、もう一度、正しい歯磨きを身に着け、歯周病やむし歯を防ぎましょう。
是非、一度、歯科医院を訪ねて、正しい歯磨きを歯科衛生士から教えてもらうべきでしょう。
お互い風邪を引かないように。

院長の独り言 306 ; ボーナス出ましたか?

ほとんどの企業では、今年の暮れのボーナスはもう支給されたのでしょうか。
新聞やテレビで話題になっていましたが、公務員のボーナスの支給額が、去年より増額されたそうです。
羨ましいですね…。
世界的な不景気風が吹き荒れているこの暮れ、全くボーナスが出ない会社も結構あるそうです。
減額されても、ボーナスが支給されれば、まだマシと云うことでしょう。
ボーナスと言えば、私も今から45年ほど前、国家公務員だったので、『賞与(ボーナス)』を頂いていました。
景気の良い時代だったので、銀行や証券会社に勤めていた高校の同級生は、『12月のボーナスが10カ月分支給された!』と鼻高々に吹聴しまくりでした。
一方、自分は…と云うと、国家公務員のボーナス支給額は、確か年4.7カ月分だったと記憶しています。
6月に2カ月分、12月に2,5カ月分、そして3月に0.2カ月分出ていたのです。
3月の0.2カ月分は、助手(助教)任官後、支給されてから初めて知ったのです。
その3月の『賞与』は、雀の涙ほどの支給額でしたが、予期しない突然の事だったので、家内も私も大変得をした気分になったのでした。
早速、二人で、ステーキを新宿に食べに行って、ほとんど使い果たしましたけど…。
当時は、日本が経済的に絶好調でしたので、給料も、ボーナスも、民間企業の方が、公務員より断トツに良かったのです。
公務員は『薄給の代表』のような職業でした。
『おまえの給料安くて気の毒だ…』
友人と会食すると、勘定を持つのは、いつも彼の方でした。
ほとんど全ての勤め人が、ボーナスが貰えていたので、12月になると、どこの繁華街も人で溢れて華やいでもいました。
最近は、シャッター商店街が目立ってきて、寂しい限りです。
お金の話に戻しますが、現在は、国も地方も公務員の待遇の方が、民間より上になっています。
40~50年前と現在では、驚いたことに、両者の立場が給与の面で、逆転してしまったのです。
マスコミの報道によると、民間の平均年俸は、公務員の年俸の三分の二程度だそうです。
小生はと云うと、40年前に歯科医院を開業したので、それ以来、ボーナスは無し、と云うより、スタッフに支払わなければならない立場です。
大変ですが、みんなの嬉しそうな顔を見る事が出来て、『今年もボーナスを支給出来て良かった…』と胸を撫で下ろしています。
ホッとして、一杯飲みたい心境なのですが、禁酒中なので我慢です…。

院長の独り言 305 ; 被災地にお金をまわしてください…

いよいよ今年もあと半月で、平成24年に突入します。
我が国にとって、平成23年は、敗戦以来の大変辛い年になってしまいました。
3月11日(金)午後2時46分に、突如襲ってきた東日本大震災と大津波、そして福島原子力発電所の放射能漏れ事故によって、壊滅的な打撃を東北各県が被(こうむ)りました。
勿論、その結果、日本中も、大なり小なりの被害を受けたのは云うまでもありません。
何千年に1回あるかどうかの自然災害の被害を目の当たりにするとは、私は思いも及びませんでした。
多くの幼い小学生が、学校ごと大津波の犠牲になったり、原発事故で無人の街と化してしまった恐ろしい光景には、心の底から身震いしてしまいました。
まさか自分の生きている時代で、こんな惨事が起こるとは…。
あの日も、息子と山森君と三人で昼飯を食べた後、ノンビリと八王子の街をぶらつきながら診療所に戻り、午後診る患者さんのレントゲン写真をチェック、準備を万端に整えていたのです。
午後の診療に入り、順調に治療は進み、三人目の患者さんを治療している最中です。
突然、グラグラと来たのは。
直ぐに地震が収まるだろうと思っていたのですが、益々揺れが大きくなり、患者さんも私も顔面蒼白。
診療室は三階ですので、本当に怖い思いをしました。
地震が収まったあとでも、しばらくはみんな(患者さん、スタッフ、私)で呆然としてしまいましたが、やっと、少し冷静になれた小生が、三階の窓から道路を見下ろすと、アチコチから見覚えのある近所の人達が大勢出て来て、ヒソヒソ話をしています。
どうやら大事にはならなかったようなので、胸を撫で下ろし、治療を再開したのでした。
まさか東北地方があんな惨事に見舞われているとは、その時は夢にも思ってもいませんでした。
そして、地震の事はスッカリ忘れて、患者さんの治療に没頭していたのです。
午後5時過ぎに、その日一日の治療を終えて、いつものように4階の医局に戻ってみると、驚いた事に、パソコンやプリンターが机から落ち、本などと共に周りにおおきく散乱しているではありませんか。
『そうだ!3時前に大きな地震があったのだ!』と思い出して、早速、テレビのスウィッチを入れて、驚愕してしまいました…。
テレビでは、街が大津波に飲まれていく様を、繰り返し放映していたのです。
後日、被害の大きさが明らかになってきましたが、現在、あまりの犠牲者の多さに(死者行方不明者を合わせて約2万人)鎮魂の思いを新たにしています。
神にも仏にも日本は見捨てられてしまったのでしょうか。
否、そんな事は絶対有り得ないと心の中で何度も叫んでしまいました。
叫んでいて手を拱(こまね)いていても物事は一向に解決しません。
何とかこの苦境から脱出するする解決策を国民みんなで知恵を絞るべきでしょう。
ただし大政翼賛会的な、上から抑えられた解決方法ではありません。
朝のニュースでも来年の1年間の税収が40兆円なのに、国の支出は90兆円以上と言っています。
差額50兆円は国債で賄うという、総額900兆円を超す財政赤字です。
また、年金に1年間に支出される額は13兆円ですが、10兆円しか積立られません。
3兆円のマイナスなのです。
このような財政を基盤にした国の運営が、続く訳ないのです。
少子高齢化で、今までの税体系を基本とした税収では、増税につぐ、増税しか、財政を直す手段は無いのです。
この不景気での増税は、恐ろしいです。
それよりも、税体系の根本的な見直しを考えたらどうでしょう。
たとえば付加価値税や貯蓄税、企業内部留保金への課税を導入し、その代わり所得税、法人税、相続税を大幅に減税するとか…。
いち早く、効果的で、われわれ庶民や企業の元気を失わせない、税体系の改革に取り組んで下さい。
そして、被災地の復興に、本腰を入れて取り組むべきです。
国を中心にした援助を主力にして、被害に遭われた方の一刻も早い立ち直りと、来年こそ日本にとって、少しでも明るい年になる事を心より祈念するのみです。

院長の独り言 304 ; 想像のできない数字

世界的に大変な不景気になってしまいました。
リーマンショックからようやく立ち直り始めたと思ったら、今度はヨーロッパです。
特に、ギリシャ国債暴落に端を発する欧州の国家破産が、PIGS(ピッグス;豚たちの意。ポルトガル、イタリー、ギリシャ、スペインの頭文字)に飛び火しそうです。
この危機を防ぐには、ヨーロッパでは100兆ユーロ、日本円に換算すれば、1万兆円ものお札を刷らなければならないそうです。
迅速に対処しないと、それこそ世界恐慌になり兼ねない危機なのです。
とうとう、『京』という天文学的な数字が出てきました。
今日は、その数の桁について、ひとくさり。
日常、数の単位として、一、十、百、千、万、億、程度が一般的です。
兆あたりの単位になると、知ってはいますが、どの程度のものなのかイマイチ、ピンときません。
特殊な数学に使われる場合のみです。
まさに100兆ユーロや1万兆円(つまり1京)となると、天文学的数字です。
兆の上の桁になると、小生の知っているのは、兆のひと桁上の単位である『京』までです。
勿論、『京』と云う桁を目にするのは、自分の大好きな天文学の専門書を読んでいる時ぐらいです。
本当の事を言うと、天文学の専門書には、その上の単位も出ていますが、あまりにも想像からかけ離れてしまうので、直ぐ忘れてしまいます。
その上の桁も、また、その上の桁の名前もある事は、あるのです。
『京』の上の桁は、確か10種類ぐらいあるのではないでしょうか。
名前の付いている、ほとんど最後の桁に、『不可思議』なんて云うものもあるのをご存知ですか。
天文学を趣味にしていると、星の事だけの勉強をしているようで、こんなバカバカしい桁の事を知る機会もあるのです。
知ったからと言って、何の足しにもなりませんよ。
確か、一番大きな単位は、『無量大数』だったと記憶しているのですが、どうでしたか…。
使う事は無いでしょうが。

院長の独り言 303 ; 今年は、お酒抜きの忘年会です

先日、生まれて初めてのアルコール抜きの忘年会を経験しました。
その日はゴルフをプレーした後、ゴルフ場から一旦、帰宅し、ひと休みをした後、定時に宴会場に入りました。
会場であった立川駅周辺は、不景気知らずの大勢の人出です。
乾杯!
掛け声を合図に、生ビールのなみなみ注がれたジョッキをゴクリ。
宴会の始まりです。
20名の参加者のうち、私を除いた全員は、本当に美味しそうにビールを飲みます。
今日は、今年最後のゴルフコンペでした。
プレー後に、毎年恒例の忘年会を行なうと、随分前から決っていたのです。
皆な良い汗を掻いた後なので、羨ましいことに、ビールを一気に飲み干していました。
一方、小生はと云うと、ウーロン茶で小さな声で乾杯…。
小さく溜息を吐いたのでした。
宴会では、今日のコンペの成績の発表もありました。
5位までが表彰されるのですが、ツイテない事に、私は6位です。
一打違いで、賞品を逃してしまい、やけ酒といきたいところでしたが、ウーロン茶では益々気が沈んでしまったのでした。
周りの友達はワインだ!焼酎だ!冷酒だ!と、自分好みのお酒を注文しては、嬉しそうに飲んで大騒ぎ。
Hさん、Aさん、Oさん、みんな酔いが回るにつれて、饒舌になってきました。
『石川さん、痛風なんか糞喰らえだよ!大丈夫だから、少し飲みなさいよ!一年の憂さを晴らさないと、新しい正月が迎えられないよ!』
『少し飲むくらいなら大丈夫、大丈夫!』
などなど、無責任な事を言っては、お酒を勧めてきます。
必死に誘惑から逃れているのに、分かっちゃないね。
内心、飲みたいに決っていますよ。
ブツブツブツ…。
ようやく魔の時間は終了。
我ながら、2時間半の誘惑に、良くぞ我慢出来たものです!
みんなが酔っている中で、自分ひとり素面(しらふ)でいる辛さ。
そして、寂しさが身に沁みた夜でした。
今年も、お歳暮で『越しの寒梅』やボルドーワインなどを頂いています。
でも、来年のお正月は、残念ですが、お酒は口に出来ないでしょう。
少なくとも、春には大好きな熱燗が飲めるようになると良いのですが…。

院長の独り言 302 ; お酒抜きの忘年会

忘年会は、一年間の締め括りとして、我が国では欠かせない年中行事です。
私も、医局時代に所属した運動部、同好会、そして同窓会、あるいは気の合った仲間で…などなど、数え上げれば切りが無いほどに、毎年、忘年会のお声が掛かります。
果たして、忘年会に何回、出席したのか考えてみると、小生、73歳になるまでに、恐ろしくなるほどの回数の酒席をこなしているのです。
お酒抜きの忘年会などあり得ないし、お酒に目の無い私とすれば、旧交あらたに盛り上がって、ついつい深酒となってしまうのがお決まりのパターンです。
少し前のブログに記しましたが、血液のデータ上では立派な『痛風』になってしまった小生。
症状はまだ出ていませんが、このまま食生活を維持して、さらに晩酌をしていると、大変に痛い目に合うのは、間違いありません。
断腸の思いのですが、11月から思い切って禁酒中です。
内心、アルコール中毒ではないのかと心配していたのですが、すんなり禁酒が出来たのでホッと胸を撫で下ろしています。
そこに禁酒の敵!忘年会が土曜日の夜に決りました。
今年初めての忘年会で、ゴルフ仲間20名での集いです。
ここでお酒の誘惑に負けて飲んでしまったら、元の黙阿弥です。
確実に、『痛風』と『腎不全』と云う奈落の底に落ちてしまいます。
気の合った仲間ばかりですし、普段の私の酒好きを知っていますから、『飲め!飲め!』とワァーワァー薦めてくるに決っています。
痛風になったとバラシテいませんから、余計、訝(いぶか)って、皆でお酒を注いでくるでしょう。
いつもは楽しい酒席ですが、これから始まる忘年会シーズンは、私にとって拷問みたいなものでしょう。
どうにか体調不良を理由に、仲間の攻撃を必死にかわして、何とか飲まずに済ませる予定です。
今年は大晦日まで、お酒を飲む機会が多いので、なんとなく憂鬱(ゆううつ)です。
年末年始は、お酒は勿論、駄目ですし、御馳走も出来るだけ少な目にしなければなりません。
恥ずかしい話ですが、生まれて初めて、酒抜きの忘年会を経験することになりそうです。
来年の事を言うと鬼が笑う云いますが、来年こそ、お酒を楽しめる忘年会を期待しているのですが、どうなることやら…。

院長の独り言 301 ; よくぞ、ロシアの植民地にならなかったものです

NHKで、司馬遼太郎氏原作の『坂の上の雲』のドラマ化が、3年掛かりで、放送されています。
先週は、見ているのも辛い『旅順総攻撃』でした。
わずか100余年前、大日本帝国海軍の連合艦隊は、ロシアのバルチィック艦隊を壊滅しました。
海戦史に名を残す日本海海戦の事です。
日本海海戦での、あまりにも鮮烈な勝利が際立ち過ぎて、日本海海戦の1年前に行なわれた黄海海戦での勝利を知る人は少ないです。
黄海海戦は、大日本帝国海軍と陸軍の連携によって、勝利を得た戦闘であったのです。
日露戦争開戦初期、ロシア太平洋艦隊は、中国からの租借地であった軍港 旅順港に停泊して、手が出せない状態でした。
日本海や黄海を、ロシア太平洋艦隊の好きなままに航海されると、満州で頑張って戦っている帝国陸軍へ送る物資(兵站)が行き届かなくなり、兵隊さんが干上がってしまいます。
しかも、バルティック艦隊が日本近海に到着してしまえば、連合艦隊は挟み撃ちに遭い、日本はロシア帝国の植民地になってしまうのです。
連合艦隊は、本隊であるバルティック艦隊が到着する前に、ロシア太平洋艦隊を壊滅しなければ、ならなかったのです。
しかし、ロシア太平洋艦隊もそう簡単には、旅順港から出てきませんでした。
旅順港から出た途端、戦力で優る連合艦隊が待ち受けているのですから…。
ロシア太平洋艦隊は、バルティック艦隊が到着するのを、旅順港で大人しく待っていれば良かった訳です。
ただし、旅順港で停泊するロシア太平洋艦隊には、弱点がありました。
旅順港を見下ろす丘203高地からの砲撃です。
港を見下ろす高台から砲撃を受ければ、ロシア太平洋艦隊は簡単に壊滅してしまいます。
仮に砲撃を避けて、旅順港を出れば、連合艦隊が待ち受けている訳です。
当然、帝国陸軍は203高地を抑えに掛かる訳ですが、そこにはロシアが誇る近代要塞である、堅牢な旅順要塞が立ち塞がっていました。
帝国陸軍が日本の命運を賭けて、旅順要塞を攻略したのは、悲しい運命であったのです。
死屍累々。
総攻撃は3回に渡って決行され、乃木希典大将率いる帝国陸軍 第3軍は2万人以上の死傷者を出してしまうのです…。
あまりにも多い犠牲のために、乃木の親友であった児玉源太郎陸軍総参謀長に第3軍の指揮権を奪われたとか(司馬遼太郎氏説)、乃木大将愚将説が囁かれました。
結果、児玉源太郎参謀長指揮下によって、旅順要塞は陥落したのです。
203高地から砲撃を受け、ロシア太平洋艦隊は旅順港から追い出されました。
そして、黄海海戦で連合艦隊に壊滅させられたのです。
前説が長かったですが、小生が書きたかったのは、ここからです。
前述のように、児玉源太郎総参謀長は旅順要塞攻略の立役者として有名ですが、小生はその児玉源太郎氏の孫と中学校の同級生だったのです。
一度遊びに彼の家に行きましたが、大変な大邸宅なのでビックリした思い出があります。
しかし児玉君は、自分があの有名な児玉大将の孫である事を皆に言わなかったので、在学中は全然知りませんでした。
大学に入った後に、同窓会で知ったのです。
彼の後ろに、児玉大将が立っているような、厳かな気持ちになったものです。
いまの若い人達は、児玉大将を知っているでしょうか?
東郷元帥率いる連合艦隊が、バルティック艦隊を壊滅させた際の名参謀が、秋山真之です。
丁字作戦と言って、敵艦隊の前を全ての艦隊でふさいで、一番先頭の敵主艦船に全戦力を集中し、撃沈する戦略です。
当時の海戦においては、戦略などなく、ただ戦艦同士の砲撃戦のみと云われていた時代に、海戦においての戦略を示したのです。
いま考えても、陸海軍協力し合い、よくぞロシア帝国に苦戦しながらも勝ったものだと感心します。
後方からの支援を出来ない様に陸軍がお膳立てをしてから、帝国海軍がロシア太平洋艦隊とバルティック艦隊を叩いて、ロシアに勝利したのです。
もし、あの時、ロシアに我が国が負けていたら、東アジアは全てロシアに飲み込まれていた事でしょう。
中国も韓国も、そして日本も…。
今週は『坂の上の雲』のドラマも、いよいよ『203高地』陥落です。
ロシアに植民地化されるのを想像して、このドラマを見ると、明治の先輩達の気持が、心の芯に迫ってきます。

院長の独り言 300 ; 痛風予備軍に仲間入り…

もう、いい歳をしているので、2~3ヶ月に一回、息子に頼んで血液採取して貰い、健康状態をチェックしています。
しかし今回は、血液データ(11月)を診て驚いてしまいました…。
夢にも思っていなかったのですが、尿酸値がかなり高い値を示したのです。
ちなみに、3ヶ月前の尿酸値は正常な値でした。
どうやら、通風の予備軍のようです。
本格的に通風になってしまうと、結晶化した尿酸が指先や関節に溜まり、あまりの痛さで動けなくなってしまうそうです。
早速、一番の好物であるアルコールを断ちました。
通風は、別名、贅沢病と言われているくらい、暴飲暴食の結果の報いであるのは十分解っています。
親父や兄貴も同じ様な生活をしていて通風とは無縁でした。
自分は遺伝的にみて、通風だけは関係無いとタカを括っていたのが、間違いでした…。
酒も駄目!
タバコも駄目!
肉や油物も駄目!
お腹一杯食べるのは、以ての外!
暫く野菜中心の食事なので、『食事のレパートリーはどうすればいいのか?』と、家内にこれまでの不摂生を叱責されています。
これからの人生、楽しみが益々少なくなるばかりです。
仙人の様な生活をしなければならないのかと思うと、ガッカリしてしまいます。
いや、仙人は大変な修行僧ですから、『冗談じゃない!一緒にしないでくれ』と怒られそうです。
食べ物だけを言っているのですから勘弁して下さい。
仙人の修行生活など、私には到底出来る筈ありません。
これからの忘年会シーズン、我慢するのは辛いなぁ~。
皆さんもお身体を大切にして下さいね。

院長の独り言 299 ; オリオン座ベテルギュースの最期

われわれの地球から見て、一番大きく見える恒星は、太陽です。
では、地球から二番目に大きく見える恒星は、何と言う星でしょうか?
答えは、ベテルギュースと云う鮮やかな赤い色をした恒星です(赤色超巨星)。
ベテルギュースは、冬の星座であるオリオン星座のα星です。
冬の夜に、いつも神秘的な、この星座を見上げてしまいます。
星座の真ん中に三ツ星が並んでいるのが、オリオン星座です。
星座の左上に赤く輝いている一等星がベテルギュースで、もうひとつの一等星は、対照的に白く輝いています。
リゲルと云います。
近年科学の進歩により天文学も大発展して、色々な天体の謎が解き明かされてきました。
ベテルギュースについても、なぜ見事な赤い色をしているのかとか、なぜこの星は周期的に明るくなったり暗くなったりするのか(波動型変光星)などの謎が解けてきました。
仮に、この星を現在の太陽の位置に置いてみると、最表層は木星の軌道を呑み込む程の大きさです。
見た目は大きいけれど、重量は軽いのです。
星は末期になると、膨張してガス状になります。
そして、最期の最期は爆発を起こし、宇宙空間に飛び散り、星の一生を終えるのです。
まさに、ベテルギュースはその末期の状態なのです。
爆発の程度は、星の大きさによって決ります。
星が大きければ、大きいほど、その爆発の程度が凄まじいのは当然です。
特に最近、一番注目されているのは、このベテルギュースが、近未来に超新星大爆発を起こすと予想されている事実です。
もしかして、明日にでも大爆発を起こすかも知れません。
地球とこの星の距離は650光年程度ですから(光速で650年の距離)、実際は、もうとっくに大爆発してしまっている事でしょう。
常にベテルギュースの650年前の姿を、我々は見ているからです。
宇宙的な物差しで考えると、スケールが違いすぎて頭が混乱してしまいます。
超巨星が大爆発すると、ブラックホールが出来ると言われています。
もし、そのような事が実現すれば、われわれ地球人はとんでもない天体ショーを目撃する事になるかも知れません。
650光年の距離は、地球的物差しで考えれば、物凄く遠いのですが、宇宙的には直ぐ近くの距離なので、近距離での大爆発が、我々にどのような影響をもたらすのか、皆目見当もつきません。
いずれにしても、ベテルギュースが大爆発を起こすと云う現実は、直ぐそこに迫ってきているのは確かです。
この一大天体ショーを、私は見たいような、恐ろしくて、起きて貰いたくないような複雑な気持ちです。
澄んだ夜空に赤く赤く輝いているベテルギュースを見上げては、ため息をついています。

院長の独り言 298 ; すべて忘却の彼方へ、アディオス!

昔の事はよく覚えているのに、最近の出来事は、自分でも呆れるほどに、直ぐ忘れてしまいます…。
例えば、『昨日の朝食は、何だったか?』と問われても、なかなか思い出す事が出来ません。
果たして、煮物だったのか、刺身だったのか…。
ヒントを与えられても、思い出せない場合もあるのです。
自分でも情けないと、つくづく感じてしまう瞬間です。
ところが、20年も、30年も、昔の出来事で、覚える必要もないツマラナイ事でも覚えているのですから、思わず笑っちゃいます。
例えば、50年前の事ですが、パジャマの上からズボンを穿(は)いて、職場である医局に着くまで、まったく気が付かなかったこともありましたし(学位論文の執筆で悩んでいた時期でしたので…)、また同じ頃、茨城の水戸で、パトカーを追い越して捕まってしまった事(制限速度がフザケ過ぎの20㎞!の追い越し禁止区域でした…)などなど…、思い出したくもない事を直ぐ思い出してしまいます。
子供の頃の出来事は、もっと思い出すのが容易です。
一体、人間の脳の記憶力はどのようになっているのでしょうか?
40年間もの長い期間、歯科医院を開業していると、沢山の患者さんと関わります。
仕事柄、患者さんの顔と治療内容は間違えないように、必死に覚えるようにしてきました。
再来院した時に、いつでも、以前に治療した内容を把握しておかなければならないので、自分の施した治療は、常に憶えるように訓練してきました。
ある日の昼下がりに、20年間以上もご無沙汰していた患者さんが、ひょっこりと来院して、『先生、久し振り!』とニコニコ笑って、受付に立っています。
その患者さんの顔は覚えていましたが、名前が出てきません。
一応、診療室の治療チェアーに寝かせて、口の中を診た途端、『Nさんだ!』と名前も思い出したし、前治療の内容も全てハッキリと思い出したのです。
その時は、『つくづく歯医者だなぁ~』と、自分を褒めてやりたい気分です。
20年前にタイムスリップして、話は弾みましたが、私とすれば、一番指摘されたくないのが容貌の事で、特に『髪の毛が薄くなりましたね』です。
その点、Nさん、本当に容赦なく、私の気持ちを知ってか、知らずか、『先生、髪の毛が寂しくなってきたね~』ときたのです…。
ここに至って、Nさんが大変な皮肉屋であったのを、鮮烈に思い出したのです。
記憶には短期記憶と長期記憶があります。
全ての記憶は、海馬のニューロン(神経細胞)で保存、記憶されますが、ひとつの記憶は、幾つかの神経細胞に記憶されるそうで、ひとつの記憶がひとつの神経細胞に記録されるのではありません。
また、短期記憶とは、一瞬の10~20秒間の記憶で、訓練によっては、少しは永く憶えられるそうです。
常時、脳に飛び込んでくる記憶を直ぐに忘れてしまい、その中から絶対、憶えていなければならない出来事を、長期記憶として、貯金箱(海馬などの記憶脳)に保管して後出しするのです。
長期記憶は一生ものなのです。
その中には、憶える必要のない記憶が、無意識に混在してしまうこともあります。
皆さんも経験がありませんか、突然、思い出し笑いをしてしまうことが…。
小生の脳は、貯金箱が小さいせいか、もう満杯で、短期記憶だけになってしまったのでしょうか。
この頃は、すべての記憶がアッと云う間に、アディオス!
忘却の彼方です…。