院長の独り言 299 ; オリオン座ベテルギュースの最期

われわれの地球から見て、一番大きく見える恒星は、太陽です。
では、地球から二番目に大きく見える恒星は、何と言う星でしょうか?
答えは、ベテルギュースと云う鮮やかな赤い色をした恒星です(赤色超巨星)。
ベテルギュースは、冬の星座であるオリオン星座のα星です。
冬の夜に、いつも神秘的な、この星座を見上げてしまいます。
星座の真ん中に三ツ星が並んでいるのが、オリオン星座です。
星座の左上に赤く輝いている一等星がベテルギュースで、もうひとつの一等星は、対照的に白く輝いています。
リゲルと云います。
近年科学の進歩により天文学も大発展して、色々な天体の謎が解き明かされてきました。
ベテルギュースについても、なぜ見事な赤い色をしているのかとか、なぜこの星は周期的に明るくなったり暗くなったりするのか(波動型変光星)などの謎が解けてきました。
仮に、この星を現在の太陽の位置に置いてみると、最表層は木星の軌道を呑み込む程の大きさです。
見た目は大きいけれど、重量は軽いのです。
星は末期になると、膨張してガス状になります。
そして、最期の最期は爆発を起こし、宇宙空間に飛び散り、星の一生を終えるのです。
まさに、ベテルギュースはその末期の状態なのです。
爆発の程度は、星の大きさによって決ります。
星が大きければ、大きいほど、その爆発の程度が凄まじいのは当然です。
特に最近、一番注目されているのは、このベテルギュースが、近未来に超新星大爆発を起こすと予想されている事実です。
もしかして、明日にでも大爆発を起こすかも知れません。
地球とこの星の距離は650光年程度ですから(光速で650年の距離)、実際は、もうとっくに大爆発してしまっている事でしょう。
常にベテルギュースの650年前の姿を、我々は見ているからです。
宇宙的な物差しで考えると、スケールが違いすぎて頭が混乱してしまいます。
超巨星が大爆発すると、ブラックホールが出来ると言われています。
もし、そのような事が実現すれば、われわれ地球人はとんでもない天体ショーを目撃する事になるかも知れません。
650光年の距離は、地球的物差しで考えれば、物凄く遠いのですが、宇宙的には直ぐ近くの距離なので、近距離での大爆発が、我々にどのような影響をもたらすのか、皆目見当もつきません。
いずれにしても、ベテルギュースが大爆発を起こすと云う現実は、直ぐそこに迫ってきているのは確かです。
この一大天体ショーを、私は見たいような、恐ろしくて、起きて貰いたくないような複雑な気持ちです。
澄んだ夜空に赤く赤く輝いているベテルギュースを見上げては、ため息をついています。

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