院長の独り言 305 ; 被災地にお金をまわしてください…

いよいよ今年もあと半月で、平成24年に突入します。
我が国にとって、平成23年は、敗戦以来の大変辛い年になってしまいました。
3月11日(金)午後2時46分に、突如襲ってきた東日本大震災と大津波、そして福島原子力発電所の放射能漏れ事故によって、壊滅的な打撃を東北各県が被(こうむ)りました。
勿論、その結果、日本中も、大なり小なりの被害を受けたのは云うまでもありません。
何千年に1回あるかどうかの自然災害の被害を目の当たりにするとは、私は思いも及びませんでした。
多くの幼い小学生が、学校ごと大津波の犠牲になったり、原発事故で無人の街と化してしまった恐ろしい光景には、心の底から身震いしてしまいました。
まさか自分の生きている時代で、こんな惨事が起こるとは…。
あの日も、息子と山森君と三人で昼飯を食べた後、ノンビリと八王子の街をぶらつきながら診療所に戻り、午後診る患者さんのレントゲン写真をチェック、準備を万端に整えていたのです。
午後の診療に入り、順調に治療は進み、三人目の患者さんを治療している最中です。
突然、グラグラと来たのは。
直ぐに地震が収まるだろうと思っていたのですが、益々揺れが大きくなり、患者さんも私も顔面蒼白。
診療室は三階ですので、本当に怖い思いをしました。
地震が収まったあとでも、しばらくはみんな(患者さん、スタッフ、私)で呆然としてしまいましたが、やっと、少し冷静になれた小生が、三階の窓から道路を見下ろすと、アチコチから見覚えのある近所の人達が大勢出て来て、ヒソヒソ話をしています。
どうやら大事にはならなかったようなので、胸を撫で下ろし、治療を再開したのでした。
まさか東北地方があんな惨事に見舞われているとは、その時は夢にも思ってもいませんでした。
そして、地震の事はスッカリ忘れて、患者さんの治療に没頭していたのです。
午後5時過ぎに、その日一日の治療を終えて、いつものように4階の医局に戻ってみると、驚いた事に、パソコンやプリンターが机から落ち、本などと共に周りにおおきく散乱しているではありませんか。
『そうだ!3時前に大きな地震があったのだ!』と思い出して、早速、テレビのスウィッチを入れて、驚愕してしまいました…。
テレビでは、街が大津波に飲まれていく様を、繰り返し放映していたのです。
後日、被害の大きさが明らかになってきましたが、現在、あまりの犠牲者の多さに(死者行方不明者を合わせて約2万人)鎮魂の思いを新たにしています。
神にも仏にも日本は見捨てられてしまったのでしょうか。
否、そんな事は絶対有り得ないと心の中で何度も叫んでしまいました。
叫んでいて手を拱(こまね)いていても物事は一向に解決しません。
何とかこの苦境から脱出するする解決策を国民みんなで知恵を絞るべきでしょう。
ただし大政翼賛会的な、上から抑えられた解決方法ではありません。
朝のニュースでも来年の1年間の税収が40兆円なのに、国の支出は90兆円以上と言っています。
差額50兆円は国債で賄うという、総額900兆円を超す財政赤字です。
また、年金に1年間に支出される額は13兆円ですが、10兆円しか積立られません。
3兆円のマイナスなのです。
このような財政を基盤にした国の運営が、続く訳ないのです。
少子高齢化で、今までの税体系を基本とした税収では、増税につぐ、増税しか、財政を直す手段は無いのです。
この不景気での増税は、恐ろしいです。
それよりも、税体系の根本的な見直しを考えたらどうでしょう。
たとえば付加価値税や貯蓄税、企業内部留保金への課税を導入し、その代わり所得税、法人税、相続税を大幅に減税するとか…。
いち早く、効果的で、われわれ庶民や企業の元気を失わせない、税体系の改革に取り組んで下さい。
そして、被災地の復興に、本腰を入れて取り組むべきです。
国を中心にした援助を主力にして、被害に遭われた方の一刻も早い立ち直りと、来年こそ日本にとって、少しでも明るい年になる事を心より祈念するのみです。

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