院長の独り言 64 ; 前歯をデコボコに並べると自然感が増します!
義歯を製作する時に、私が一番気を使っている事があります。
勿論、良く咬める義歯など基本的なものは当然として、それ以外に、前歯の見た目の立体感に一番気を使うのです。
歯の色調も大切ですが、わざと、少し『ガタガタ』に並べる事にして立体感を出すのです。
奇麗には絶対並べない事にしています。
『ガタガタ』と言っても義歯が緩んいるのではなく、前歯の人工歯を少し、互い違いに配列するのです。
これが意外と患者さんに好評で、『凸凹』していて、カッコ悪いからイヤだと云う患者さんは、この方法で作った義歯に対して一人もいません。
みなさんに喜んで頂いています。
前歯が、あまりにも、スッキリして綺麗に並んでいると、自然な感じが失せて、いかにも人工物が入っている感じになり、他人から見て、義歯だと見抜かれてしまいます。
町並みが整って綺麗なのとは全く違のです。
新患の五十歳程の女性の患者さんが、前歯部の部分義歯の再製希望で来院されました。
今までの入れ歯がどうもしっくりこないので、新しく義歯を作りたいとの事でした。
綺麗な入れ歯が入っているのですが、いかにも人工物と云う感じです。
綺麗すぎて却って不自然な感じなのです…。
そこで思い切って凸凹に前歯を並べて作ってみました。
患者さんがいやがった時は、再製作も考慮に入れて作ってみたのです。
新しい義歯を患者さんが口の中へ装着してみると、笑った時、歯並びに立体感があり、顔全体がチャーミングに見えるのです。
その患者さんは『嬉しい!』と言って、小生の手を握って大喜びでした。
それからは、自信を持って、前歯の審美に関する治療は、患者さんと相談の上、『凸凹』に並べています。
そして、その患者さんは入れ歯を装着してから、およそ半年に一度、定期的に来院されています。
昔から、『笑う門には福来たる』と言われている通りで、歯を手で隠して話をするご婦人を、時々、見かけますが、是非、その手を外して大笑いして貰いたいですネ。
ブログの第一回に登場したインプラントで総義歯を希望していたお婆ちゃんの義歯が最近、完成しました!
今までの総義歯と比べて、あまりの違いにビックリしていました。
今まで食べられなかったおしんこ、お肉などを本当に美味しく食べる事が、こんなに幸せな満足感を得られるとは『想像以上だった!』との事でした。
怖いと思って躊躇していたけれど、思い切って『清水の舞台から飛び降りる』つもりで、インプラント支持の総義歯を作り、『飛び降りて本当に良かった…』と嬉しそうに言ってくれました。
我々ドクター側も、患者さんの満足した笑顔を見てホッと胸を撫で下ろしています。
勿論、この患者さんの前歯も凸凹に並べたのは云うまでもない事です。