院長の独り言 419 ;むかしの駄菓子屋

およそ70年も前になりますが、私が小学生の頃は当たり前の話ですが、コンビニなる便利なものは存在していません。
子供が手軽に買い物していたのは「駄菓子屋」と呼ばれていた路地裏の小さなお店でした。
あめ玉やせんべいを一枚から売っていました。
竹とんぼ、ビー玉、面子(めんこ)やけん玉、昆虫取りのあみなどなど、子供用の玩具も狭い店先によくも揃えたものだと思うほどに並んでいました。
そして、何処の駄菓子屋さんでもオバアちゃんが切り盛りしていたのです。
我々子供達はそのオバアちゃんを揶揄(からか)ったりしていましたが、今から振り返ってみると、その反対で、オバアちゃんにいいようにお客さんにされていたようです。
当時の駄菓子屋はチビさん達のたまり場で、今で言うお母さん達の井戸端のような場所だったのです。
現在は「駄菓子屋」なる店は殆どお目にかかる事が出来ません。
ところが、自宅近くの道路で、その見なくなった「駄菓子屋」を発見したのでした。
年甲斐も無く嬉しくなって、早速、店の中に入ってみたのです。
当然の事ですが、店の中はおチビさんで一杯、いい年をした大人は私以外に一人もいませんでした。
店のおばさんも怪訝(けえん)そうに『お孫さんにお土産ですか?』
まさか、自分が欲しいとも言えず、軽くうなずいて、塩せんべい、水飴、ラムネ、そうそう、昔好きだった『都こんぶ』などを買い込んで、何となく子供の頃にタイムスリップした気分になったのです。
この年になると、自分の小学生の当時が懐かしく思えて仕方がありません。
仲の良かった友達も小学生の侭(まま)です。
もうあの世に行ってしまった友達もきっといることでしょう。
今、年を取って会うのも何となく気が引けますが、小さい時のまま会いたいな〜と心の底から思うのです。
時の流れの早いのをつくづく感じると同時に、この世の無情を嘆いているのです。
泣けてきますね~

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