院長の独り言 342 ; この歳になって、書の鑑賞を楽しむ

ある日の休日。
患者さんの小榎さんに頂いた書道の作品集を、何となく眺めていました。
眺めるなんて言うと不思議に思われるでしょうが、正直、私にとっては、他に的をえた表現が見つかりません。
読める字もありますが、何て書いてあるのか解読不能な文字も多いのです。
字と云うよりも、記号と言うのか…。
絵のようにも思える字もあるのです。
しかしジックリ眺めていると、心の中にしっかりと印象が残るのです。
机の上に立て掛けて、近くで見たり、少し離れて観賞しています。
頂いた書道の作品集は、なにしろ分厚い立派な本なので、机に立て掛けても転びません。
過去のブログで何度も触れていますが、私は絵を観賞するのが大好きです。
日展や外国の有名な名画などの展覧会に、家内とよく鑑賞しに行きますが、好きな油絵や日本画は特にゆっくり観て回ります。
偶然、書道の作品が目の前に出てくる時、もちろん眺めてみますが、『書』は、自分とはかけ離れた存在でした。
絵画ほどは熱心に観たことはありません。
自分が字を上手に書くのを苦手にしていたので、余計、避けていたのかも知れません。
名人の書いた字を観れば『上手な字だな~』、『何て書いてあるのかな?』、『力強い書だ!』などと、ひとりで悦に入っていました。
自分とはあまりにも違った芸術の世界だと決め込んでいた傾向がありました。
小榎さんに書道の本を頂いて、この年になって初めて『書』をジックリと見つめる機会をもったのです。
日本人のくせに、今まで字は情報伝達の手段ぐらいにしか思っていなかったのです。
貧しいものです…。
小学生の頃から、さんざん習字の授業で教わってきたのに、日本古来からの文化である書道に、あまりにも関心が少な過ぎました。
『書道』と云う『華道』『茶道』と並ぶ、我が国の三大『道』のひとつに興味を沸き立たせて頂いて、小榎さんにあらためて感謝致します。
これを機会に、書道の名作を鑑賞したいし、読めない銘文を少しでも理解出来るようになりたいと思っています。
考えてみれば、日本の伝統文化は、すべて天皇を中心とした朝廷文化によって築き上げられたものです。
天皇という軸が無くなったら、日本に何が残るのでしょうか?
アメリカや中国のような、歴史や伝統の断絶した国になってしまうのでしょう。
私もこの歳になって、日本をもっと学びたいと思います。

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