院長の独り言 214 ; 代官は悪者ではなく、正義の味方であった!

小生の親父とお袋が生前、一番、気に入っていたテレビ番組は、TBSの『水戸黄門』でした。
特に、歳を取れば取るほど、二人とも黄門様の大ファンになっていきました。
私からすれば、決りきった勧善懲悪の時代劇で、歌舞伎ではないけれど、筋の内容も毎週ほとんど同じ展開です。
親父もお袋も、よく飽きないものだと感心していました。
ドラマの最後では、どう云う結果になるのか、二人ともよく理解していました。
筋が分かっていても、一週間に一回の黄門さまを、本当に楽しみにしていました。
大体、筋の出だしは決っていて、越前屋の大旦那と小悪党、後ろに黒幕の悪代官が隠れていて、善良な農民や庶民をハラハラするくらい苛めているところに、助さん、格さんを引き連れた黄門様のお出まし。
悪者どもを一網打尽に懲らしめると云う案配(あんばい)です。
人気番組でもあったので、『水戸黄門』を見ていた多くの人は、『江戸時代の代官は悪人ばっかり!』と思っていた事でしょう。
しかし、これは大きな間違いです。
今から思えば、水戸黄門のテレビドラマは本当に罪作りの番組なのです。
草葉の陰で、さぞかしや、このテレビドラマを制作していた放送局を、代官たちは恨めしく思っている事でしょう。
本当は、代官ほど庶民の味方で、正義感の強い人間は、江戸時代には、他にいなかったくらいなのです。
農民に過酷な税を納めさせようとする行政に対して、命を張り、率先して抵抗していたのが、他ならぬ代官たちなのですから。
困っている農民には、先祖伝来の家宝を売り払い、たとえ自分の家族が飢えようとも、食べ物を与えていたのです。
そのような史実は、当時の記録を少し読めば分かる事です。
天領(幕府の直轄地)の農民や商人には、絶大なる信頼を寄せられていたのが、他ならぬ代官なのです。
『代官様の頼み事なら…』と、一つ返事で従っていたくらいに、領民から信用されていたのです、当時の代官は。
『おぬしも本当に悪よのう~』と、お決まりの台詞(せりふ)を吐いていた悪代官などは、江戸時代、皆無だったのです。
まあ、少しの不正はあったかもしれませんが、殆どの代官は清貧を貫いて、領民を保護していたのです。
今回の大震災に遭遇した場合でも、多分、江戸時代の代官なら、間髪を入れず先頭に立って陣頭指揮をとった事でしょう。
ほうれん草などいくら食べても身体に悪影響が出ないと専門家が言っているのに、不安を煽るような事は絶対しなかったし、自ら食べて見せたでしょう。
危ないと思われた時に、国民に知らせれば良い事です。
地位と名誉もある人たちが、マスメディアの報道にパニックを起こし、外国へと転居することも無い筈です。
代官の爪の垢でも煎じて飲んで貰いたいものです。
人の上に立つ者は、江戸時代の代官のように、自ら率先して犠牲的精神を発揮してもらいたいものです。
発言と行動が一致している人こそ、尊敬されるし、信頼もされるのです。

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