院長の独り言 58 ; 電話の普及
初めて我が家に電話が入ったのが、自分が小学生の時でした。
父の仕事の関係で、公的に電話を優先的に引いて貰う事が出来たのだそうです。
個人の自宅には、余程の金持ちでなければ、電話を持つ事が出来ない時代でしたから、我が家は幸運のはずでした。
はじめは電話が珍しくて、近所の話題になり、皆さんが見学に来るほどでした。
何も用もないのに父の職場に電話をかけて、怒られたりもしました。
ところが、しばらく経ってから大変な事になってきたのです。
毎日のようにリンリン電話が鳴りだしはじめたのです。
お察しの通り、近所の家の呼び出し電話になってしまったのでした…。
かなり遠くの家からも、呼び出し電話として利用されてしまい、呼び出しの電話が鳴る度に、知らせに行くのが大変な苦しみとなり、一時期、家中の家族がリンリン鳴るたびに怯える毎日となり、結局、電話を取り外して貰わざるを得なくなりました。
それから少し経って、親父の仕事の関係上、官舎に引っ越しましたので、電話の話題も消えてしまいました。
そして、日本は高度成長の時代になり、瞬く間に、全国総ての家庭に電話が設置され、洗濯機、冷蔵庫、テレビと電化製品も普及しはじめ、日本の文化生活の幕開けとあいなったのです。
現在は、逆に、家庭に電話を設置する事が少なくなり、またまたビックリです。
一人一人が携帯電話を持つ時代になるとは、あの頃には思いもしませんでした。
ただただ、科学の進歩に驚かせられます。
確かに、携帯電話ほど便利なものはありません。
一度使い始めると、私も携帯電話を手放せなくなりました。
将来、どこまで科学がこの世の中を変えていくのか、楽しみやら怖ろしいやら興味深いですネ。