ひとは年を重ねると、風景に興味が向くのでしょうか…
今朝、自宅より医院へ向かう途中、いつも通り、日野橋を渡りました。
車窓から見た光景は、重苦しい雲間の所々から光の柱が差込み、神々しいまでです。
村上春樹氏の小説『ノルウェーの森』冒頭の一場面を思い出しました。
主人公の『ワタナベ』君がハンブルク空港に降り立つ光景を、『フランドル派の陰鬱な絵の背景』と描いています。
今朝も、まさしくフランドル派の絵の背景のようでした。
そして『ワタナベ』君は、機内で流される曲、ビートルズ『ノルウェーの森』を聞き、頭を蹴り続けられる感覚に襲われましたっけ…。
私が小説『ノルウェーの森』を読んだのは、高校2年生だったと思います。
あの時は、小説の持つ雰囲気や主人公たちの会話のおしゃれさに憧れたものです。
しかし今、同小説を読むと、今度は私が頭を蹴られることとなるでしょう。主人公と同じように、ある曲が流れると、感情を乱されることもあります。
小説家の安岡章太郎氏が芥川賞の選考委員だった頃、いつかの選考委員会で、ある作品を評して、『若い人は人間に興味が向かうが、歳をとると風景に興味が行く』云々の文を書いていましたが、私も人並みに年を経ているのでしょうか。風景の変化に気をとられるようになってきました。
今朝の空気は非常に澄んでいて、思わず美しい景色に出遭ったので、デジカメで撮影してみました。