院長の独り言 311 ; 消費税の増税に不安な理由(その2)

歴史的な円高です。
私が学生の頃は、1ドル360円の固定相場でした。
為替レート360円の当時、日本に来て、ドルで買い物をしていた外国人にとっては、『日本は、なんて物価の低い国なんだろう!』と、さぞかし歓喜の声を上げていた事でしょう。
それが、今は完全に逆転しています。
今日の為替レートでは、1ドル77円前後です。
外国人観光客は、『日本は物価が高い国だ!』と落胆しているに違いありません。
これだけ円高になると、輸出をしている会社にとっては、大変そうに思えます。
しかし、見方を変えれば、製品を作る材料は輸入しているのですから、材料費は円安の時よりたいへん安く済む事になります。
円安の時より却って、競争力があるのではないでしょうか。
こんな意見を言うと怒られそうですが、我が国にとって、千歳一遇のチャンス到来のような気がします。
かつてドル高の時に、アメリカは不景気にならず、目を見張るほど経済成長したのですから。
勿論、アメリカの好景気は他にも理由はあったでしょうが、ドル高を上手く利用した事も確かです。
アメリカの真似ではないですが、円高のうちに、原材料(鉱物、石油、飼料など)や外国の一流会社の株、一等地、名画などを出来るだけ購入すべきです。
当時の外人旅行客が日本で思ったように、我々が外国に行くと、円高のメリットをよく理解出来ます。
為替によって、物の値段があまりに違うのに、目が点になってしまいます。
円安の時には、外国へ行くと何でも高く感じるし、円高の時は、実感として全ての物を安く思います。
原材料の輸入業者は、輸出業者に安くなった分を考慮して提供して欲しいものです。
輸入業者は日本人なのですから、日本全体の利益を考えて、日本経済の救世主になって下さい。
巡り巡って必ず輸入業者にプラスになって還元されるものと信じます。
日本の製品を、外国人が高いと思わない程度の値段で輸出する事が出来れば、魅力ある日本の製品が売れない筈がありません。
為替の差損だけ質を落として売ったり、買う意欲を削ぐほどに高くすれば、輸出は落ち込むに決っています。
先人の努力の結果、ブランド化している日本製品を、魅力のある状態で維持するには、輸出入業者の協力と日本政府の後ろ盾が必須条件です。
もうひとつ、内需の拡大です。
世界経済が思っているより深刻で、なかなか不況が回復しない場合も考えなければならないのは、言うまでも無い事です。
幸い、我が国は債権大国ですし、貯蓄大国です。
マスコミも良くないですよ。
日本の将来に対して、悲観的な事ばかり言い過ぎのきらいがあります。
確かに、何事にも慎重に対処すべきでしょうが、あまりにも消極的な意見は、脅かされているようで身動きがとれません。
年金が貰えなくなるなど言っても、遠い将来の事で、実際は、どうなるか分かりません。
本当に年金が貰えなくなるかどうかを今から心配していても始まらない事です。
それより、この不況感を一刻も早く払拭すべきです。
特に、年金がキチンと出ている60歳以上の人の購買意欲が湧いてくるような製品を、もっと考慮すべきです。
日本の貯蓄の62、3%は、60歳以上の人の貯蓄です。
言い換えれば、経済的に余裕がある人は、60歳以上の人が多いのです。
一番大切な事は、60歳以上の人に、将来に対する安心感を持って貰う事です。
私もそうですが、体の衰えを感じている上に、日本に未来が無いように言われれば、自己防衛せざるを得ません。
結果として、財布の紐がキツくなるに決ってます。
政府も、マスコミも、希望を持たせるようなシュミレーションを、高齢者に伝えるべきだと思います。
高齢者の購買意欲が出てくれば、税収入も増えると云うものです。
消費が上向けば、景気の回復は意外と速くなるものです。
その結果、消費税も上げずに済むかも知れませんよ。

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