院長の独り言 312 ; 阿部先生と煎茶席
当院の歯科衛生士2名(有若さんと蓮実さん)が、去年の春以来、煎茶の作法を阿部先生から教えて頂いています。
習い始めてから早(はや)、一年間が経とうとしています。
ひと月に3回、阿部先生の自宅に通って、煎茶作法の勉強中です。
今では、稽古の日が待ち遠しいそうです。
もう去年になってしまいましたが、暮れの29日(木)に、日本橋高島屋で『煎茶席』を催すとの案内を頂き、息子と出掛けてきました。
彼女たちが着物姿で、茶席のお手伝いをするとの事。
行かない訳にはいきません。
会場には、萬福寺開創350周年を記念して、インゲン豆を中国から本邦に伝えた事で有名な隠元(いんげん)禅師(京都宇治市にある黄檗宗大本山萬福寺の開祖)を偲び、萬福寺の創建時に作られた仏像など黄檗(おうばく)文化の名品が数多く展示されていました。
その記念の茶会として、『煎茶席』が設けられていたのです。
隠元禅師は、インゲン豆だけではなく、スイカ、蓮根、煎茶や、現在、使われている原稿用紙や、印刷に使われている書体を、我が国にもたらした人なのです。
展示会の一画に、煎茶の席が設けられていましたが、その入り口で、阿部先生がニコニコと立っていました。
我々が挨拶に行くと、先生は大歓迎して呉れました。
周りには着物姿のご婦人方が、忙しそうに茶席の準備をしていて、その中に、着物姿の有若さんと蓮実さんを見付けました。
小生と息子に気付くと、二人とも一寸恥ずかしそうにして、我々の所に来ました。
『二人とも似合っているよ、振袖が!』
『先生、カラカワナイで下さい』と、照れ臭そう。
息子が、阿部先生と二人の着物姿を写真に収めました。
若いお弟子さんがお茶を準備している横で、阿部先生にお茶の入れ方や道具、作法や結界の説明をしてもらいました。
無粋な私とすれば、飲み方の『間(ま)の取り方』も解らず、どのようなタイミングでお茶を飲んだら良いのかマゴマゴしてしまいました。
それを察してか、先生が『この茶席は、サロン感覚で良いのですよ』と言われたので、少し緊張がほぐれたのです。
少し甘みのある一回目の煎茶と、苦みの強い二回目の煎茶を点(た)てて頂き、その合間に、和菓子を頂きました。
日本には、このような茶会など、子孫に伝えていかなければならない伝統文化が沢山あります。
何も知らない私が言うのも何ですが、是非、伝統文化を子孫に残して欲しいと思いました。
この頃は、歌ったり踊ったり、所謂、西洋文化花盛りです。
勿論、それはそれで良いのですが、日本独特の文化も是非、継承して欲しいものです。
お茶会のあとには、爽やかな気分が残りました。