院長の独り言 209 ; われわれ都民は、避難されている福島の人々に感謝しなくては…

『ウラン鉱山で働いている人は、癌になり易い』とよく言われています。
ウラン鉱石はそのもの自体が不安定な物質なので、崩壊しながら安定物質の鉛のような鉱物になる性質を持っているのです。
以前のブログにも、ガスボンベに例えて表現しましたが、その崩壊の過程が放射能と云う事です。
要するに、ウラン鉱石(放射性物質)は、α線などの放射線を出しながら、鉛の様な物質となって安定していくのです。
この時に出る放射線に常に当たっていると、癌などの疾患になり易いと昔から言われているのです。
ウラン鉱石は、放射線を発生する、天然に存在する物質です。
いま問題になっている福島原発事故は、厳密に云えば、人間の作った原子力発電所から放射線が漏れているのです。
原発事故は、上記のウラン鉱山の件と異なり、人工すなわち、人が作り出したものなので、自然界には存在しないヨウ素やセシュームも発生します。
テレビで盛んにそれらの名前を言っているので、皆さんも小耳に挟んでいると思います。
人が作り出したもので一番怖くて、ポピュラーなのが水素爆弾のような核兵器から出てくるプルトニウムのような放射性物質です。
アメリカが1954年の春、太平洋のビキニ環礁で水爆実験を行い、日本の漁船である第五福竜丸に放射性降下物である、いわゆる『死の灰』が降り、乗組員が被爆した事件は、当時、大変な衝撃を与えました。
核実験は放射性物質を空気中にまき散らし、広範囲の地域に大被害を起こさせます。
大気に放射性物質をまき散らさない為に、1961年以降はどの国も、核実験を地下で行うようになり、放射能による放射性物質の拡散被害は極端に減少したのです。
現在は、ソ連が崩壊した事もあり、世界規模の核戦争の危機も殆ど無くなったので、核実験も行われなくなりました。
しかし世界的にみて、使用する電気の量は拡大の一途です。
そして世界で使用する電気は、原発に頼らざるを得なくなってきました。
一難去って、また一難です。
科学の発達や生活の質の向上の為には、どうしても大量の電気が必要になり、世界的に電気の使用量がうなぎ上りに増加し、どの国も水力発電や火力発電だけでは必要な電気量を生産する事が困難な時代になってしまったのです。
やむを得ず、世界各国は危険と知りつつ、原子力発電所に頼らざるを得ない状態になってしまったのです。
勿論、我が国も国民の生活の為に、原発に頼らざるを得ません。
ロシアのチェルノブイリ原発事故やアメリカのスリーマイル島原発事故、そして今回の福島原発事故と、一度、原発事故が起こってしまうと、トンデモナイ事になってしまいます。
電気は欲しいし、原発事故は怖いし…。
一体、我々はどうしたら良いのでしょうか。
放射線治療(ラジュム)で、先駆的役割を果たしたキュリー夫人も放射能による白血病に冒されて命を落としています。
放射能は必要悪、あるいは諸刃の剣と云う事でしょうか。

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