院長の独り言 388 ; オヤジのスキー嫌い

小学生の頃から、自分はスポーツ大好き少年でした。
以前のブログで触れた野球をはじめ、水泳、サッカー、バスケ、バレーなど、色々なスポーツをしてみました。
下手の横好きですが…。
ウィンタースポーツのスケートは、一年を通して、後楽園アイススケート場でもやっていましたし、冬は榛名湖や野尻湖で滑った事もあります。
ところが、冬のスポーツの王様、スキーだけはやっていません。
理由は、オヤジから強烈にスキーを禁止されていたからです。
大学時代の冬休みに、スキーをなんとか覚えたくて仕方がなく、『バイトで貯めたお金で、友達と滑りに行くのだからかまわないだろう?』と、オヤジに相談したのですが、結局、オヤジはを縦に振りませんでした…。
もう大人なので、何もオヤジにスキーをやる、やらないなど、聞かなくてもよかったのですが、オヤジは何故、スキーを毛嫌いしているのか、その理由を聞いてみたのです。
ところが、オヤジは変に口が堅く、ただ『スキーはやるな!』の一点張りでした。
結局、大学時代はスキーをやらずじまいで過ぎてしまいました。
卒業した後に、臨床系の大学院に入学したのですが、その入局した教室は教授をはじめ、殆どの医局員が冬になるとスキーを楽しんでいたのです。
何しろ、恩師である教授は、スキーの本場である、豪雪地帯で有名な新潟県浦佐の出身です。
実は、オヤジも新潟県の出なのです。
それなのにスキーが嫌いとは、どう云う理由なのか全く謎でした。
いつの年だか忘れてしまいましたが、宮城の蔵王に、医局のスキー大好きグループが滑りに行った時のことです。
その時に、全く一度もスキーの経験のない私も、強引に連れて行かされたのです。
自分では運動神経が良い方だと思っていたので、何とかなるとタカを括ってついて行きました。
スキーの道具を持っていなかったので一旦は断ったのですが、先輩が『貸しスキーがあるから大丈夫だ!』と、なかば強引に連れて行かれてしまいました。
スキー前夜は、例によって、本場の日本酒で宴会です。
みんな大いに飲んだのは云うまでもありません。
自分はスキーをやる事に躊躇していたのですが、みんなが『30 度程度の傾斜だったら、初心者向きだから…』 と、たいしたことはないと笑っていたのです。
翌日、ゲレンデに初めて立ったのですが、オーバーでなく崖っぷちに立たされた気分でした。
30度なんか緩い坂だと思っていましたが、とんでもない嘘だ、騙されたと思ったのです。
あまりの急坂に呆然として立ち尽くしていた私の背中を、先輩に『ドン』と押されてしまいました。
滑ると言うより、私は悲鳴を上げて、ゲレンデを転げ落ちたのでした。
幸い、距離は短かったので、ケガをしないですみました。
これが自分としては、スキーの初めての経験でした。
後で分かった事ですが、崖の上に立ったと思ったのですが、間違い無く傾斜は30度でした。
それを切っ掛けに、結構、スキーを楽しむようになったのです。
オヤジは若い頃、スキー大好き人間で、腕はたいしたものだったそうですが、ある時、甘く見て、死ぬ思いをしたのだそうです。
それで、足にひどい複雑骨折をしてしまい、それ以来、季節の変わり目になるとかなり痛みが出たそうです。
オヤジは、複雑骨折を切っ掛けに、スキー大嫌い男になったのでした。

Leave a Reply

You must be logged in to post a comment.