院長の独り言 183 ; 研究生活も気楽ではないです…

私が主に活動していた学会は歯科保存学会です。

昔は、一年に一回開催される、この歯科保存学会は東京で開催される事が多かったのです。

何故なら、私が大学に在籍していた45年前は、歯学部と歯科大7校のうち、東京に4校も集中してあり、地方と云えば大阪と福岡しか無かったからです。

何年に一回は、大阪と福岡でも開催していました。

今は、日本中で29校もの歯学部や歯科大学が存在しているので、仙台、札幌、新潟、広島、鹿児島など歯学部や歯科大学が在る地方都市で開催しています。

そもそも学会とは、どの様な活動をしているのかと言いますと、主に若手研究者の発表の場なのです。

つまり若手研究者の登竜門なのです。

付録として、教授級の先生の特別講演があるのです。

この場で自分の研究が認められる事が、大切なのは言うまでもありません。

自分が発表をしなければならない学会では、噛んだり、詰まったりと、下手な発表をすると恥をかくので、研究室では勿論ですが、自宅に帰っても発表の練習を重ねるのです。

大学院時代は研究だけが仕事ですから、治療でも自分の研究テーマに関係する患者さんだけを診療していました。

小生は運良く、大学院2年生の夏に、教授の目に止まるような研究成果が得られ、その秋の歯科保存学会で発表する事になったのです。

壇上に上がって、大勢の先生達の前で発表するのですから、最初は誰でもアガってしまうものです。

大物政治家の誰かさんの様に、書いた文を見ながら発表するのでは、全く迫力がないので、発表する人はみんな何回も練習して、会場を見据えて発表するのです。

私も研究室の秘書さんや雑用係のバイト学生、結婚してからは家内に、無理矢理聞き手になって貰い、学会の1カ月ほど前から猛特訓していました。

初めての発表の時は、終わるまで緊張しまくりで、食欲も失せる感じでした。

この研究発表は、何度経験しても緊張してしまい、自信が付いてくる性格のものでは無いのです。

何しろ、自分の研究が他大学で同じテーマの研究者に如何(どう)評価されるのかが、一番の気掛かりなのです。

もし高い評価を受けると、歯科の専門雑誌に自分の研究成果が載る事になります。

自分の研究について執筆を依頼されてきた時は、本当に研究者として嬉しいものです。

今、こうやってブログを書いていても、当時の研究生活が走馬灯のように目に浮かんできて、思わず目がウルウルしてしまいます…。

大学院の研究生活では、研究が順調に進んでいる時は良いのですが、そうでない時は、イライラして温厚な(?)私でもやけ酒をあおったものです。

何はともあれ、何とか学位が貰えて、月謝を払う必要も無くなり、研究だけの生活から抜け出る事が出来たのでした。

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