院長の独り言 111 ; 家電が本当に安くなりましたね…
歯科治療の経過写真を撮る為に最新の一眼レフ・デジカメを購入しようと、診療後に息子と2人で家電量販店にブラッと立ち寄ってみました。
多種多様の家電が所狭しと置かれていて思わずビックリするのですが、ふと、その正札を見ると思ったより値段が安いので嬉しくなります。
嘘のような話ですが、昭和26、7年、私が中学生の頃は白黒テレビの21インチ程度のものが20万円もしていたのです…。
今だったら、同じ値段で立派な液晶テレビを買うことが出来るでしょう。
当時のサラリーマンの月給が約1万3千円でしたから、白黒テレビが当時、いかに高かったのか理解出来ると思います。
テレビは超貴重そのものだったのです。
近所のお金持ちがテレビを購入すると瞬く間に周りの家々に知れ渡ってしまい、みんなに自宅に押し入られてしまい、テレビの前を占領されてしまうのです。
今は一人にテレビ一台の時代。
隔世の感が有りますね…。
またカラーテレビは昭和35、6年に初めて発売されたと記憶しているのですが、21インチで50万円以上していたのです。
ラーメン、ざるそばは確か30円だったと記憶しています。
現在は600円程ですから、20倍に値段が上がっているのです。
カラーテレビの値段を単純に20倍にすると、現在の価格で1千万円を超える事になるのです。
当時は食べ物や家賃は確かに今よりズーッと安かったのですが、テレビや自動車の贅沢品は現在の方が全然、安いのです。
大学院生の頃、ある大手総合商社の歯科診療所に週1回、非常勤で歯科治療に行っていました。
患者さんの中に販売担当部長さんがいらしたのですが、売値は原価の10倍にしないと儲からないと教えて呉れました。
カラーテレビが50万円もの値を付けていた頃は売れる数が限られるので、原価は想像以上に掛かっていたものと思われますから、メーカーは出血サービスしていたのかも知れません。
しかしそれでも、我々庶民には全く手の届かなかった存在でした。
その後、われわれ国民が頑張って経済大国になり、カラーテレビは日本中に拡がり、需要が大幅に増えた事で値段はご存じの通り大変、安くなりました。
55、6年前は、食べ物や家賃、銭湯など生活に密接しているものが安くて、家電製品や自動車などいわゆる贅沢品と言われている機械ものが高い世の中でした。
その正反対の家電製品や自動車が安くて、生活必需品にお金が掛かる現代社会が住み易いのか住みにくいのか、考え方はひと其々ですが、小生とすればもう年寄りですから、全ての面で便利になっている現在の方がずっと住み易くなっていると思うのです。
何しろ若い時と違って、食べる量は本当に少なくなってしまいましたし、家賃もゼロです。
普段の生活にはあまりお金が掛からないのです。
しかし、これから日本を背負って立つ若い人が住み易い世の中になって貰いたいと願っているのは勿論の事です。
若い人の事を考えれば、食べ物や家賃など生活するのに絶対必要な、生活必需品が安く済むような世の中の方がきっと良いのでしょう。
あちらが立てばこちらが立たず、こちらが立てばあちらが立たず、世の中、生きていく難しさを感じずにはいられません。