院長の独り言 112 ; 成熟した民主主義とは、多数決のみで全てが決する学級会とは違う!

今日もワールドカップの話題がテレビや新聞を独占しています。

日本では今、参議院選挙が公示されて、選挙運動が進行中ですが、本当に国会議員の選挙が行われるのか疑問に思う程、盛り上がりに欠けた感じがします。

冷静に考えれば、われわれ日本人にとっては、サッカーより何十倍も参議院選挙に関心を向けなければいけないのではないかと思うのですが…。

今回の選挙結果次第では、われわれの生活がかなり変わる事になると思われるからです。

増税されるかも知れないし、夫婦別姓や外国人地方参政権が認められるかも知れないのです。

世の中がかなり変化する可能性が出てきたのです。

日本がチェンジする事が、本当に将来の日本にそして子供達にとって幸せに繋がって行くのでしょうか。

それで無くとも、家族がバラバラになって来ている現在、夫婦別姓になったら加速度的に家族の絆が失われていくのでは無いかと心配です。

地方参政権が通れば、長閑な日本古来からの仕来りや付き合いが消滅する可能性もあるのではと思われます。

増税すれば、益々、世の中不景気になってしまいそうです。

そこで私の国会論。

日本人の少数意見を、もっと拾って貰いたい!

学生時代から思っていたのですが、イギリスの哲学者ベンサムが『最大多数の最大幸福』論を唱えていましたが、いつも疑問に思っていました。

簡単に少数意見を切り捨てて良いのでしょうか?

イベントやスポーツなどの一般的にみて、深刻な影響など無い場合での多数決による決定は兎も角、国会や裁判での多数決による判断は最も慎重を期すべきだと思います。

先日の国会での子供手当て法案の質疑でも、与党は数を力に強引に自分たちの法案を通していました。

自民党が政権を握っていた時は、自民党もやはり強引に自分たちの意見を通過させていました。

どちらも『われわれは国民の選良として、政権を付託されているのだ!われわれの政権が嫌なら、選挙で勝ってみろ!』が殺し文句です。

国民の大半は自分たちの代表である国会議員に色々、討議をし尽くして貰い、日本国民の為になる素晴らしい法案を作って欲しいと願っているのだと思います。

しかし時として、その期待は裏切られて仕舞うものです。

幸い我が国は二院制です。

衆議院は現在、民主党が過半数を握っている事は承知の事実です。

これで参議院の過半数を民主党が独占した場合、子供手当て法案の如く、与党の法案が討議もろくにしないで、成立してしまう事になってしまうかも知れないのです。

単に、与党の法案の善し悪しを小生は言っているのでは無く、もっと色々な意見を出し合って討議を尽くして、またそれを国民に全てを見せて欲しいと願っているのです。

参議院は与党以外の党で過半数を確保出来れば、どの党も強引には国会運営が出来ないのですから、国民の前で自分たちの党の意見を国民に分かりやすく説明して呉れるのではないでしょうか。

そうなれば、増税でも夫婦別姓や地方参政権でもトコトン討論して呉れると思います。

年寄りの小生からすれば、社会において『最大多数の最大幸福』なんて有りえない…。

90%以上の人が賛成している場合はともかく、60%程度の人が同じ意見でも、40%の人を切り捨てて良いのでしょうか。

切り捨てるにしても、40%の人が或る程度納得出来るように討論する事が、代議制民主主義の本筋なのではないでしょうか。

衆議院の多数党がA党なら、参議院は別のB党が多数党、衆議院の多数党がB党なら、参議院は別のA党が多数党、これが私の国会論です。

衆議院と参議院議員の数が捻じれている方が、どちらの党にとっても強引な事は避けざるを得ません。

強引にすればする程、野党の方が国民から見て紳士的に感じるに違いないからです。

捻じれている方が国会議員の先生にとっても、強引に法案を通す事が無いので、国民に信頼される事になるので好都合になると思うのですが、如何でしょうか?

さもなくば、参議院議員を政党に所属させない方がよっぽど良いでしょう。

成熟した民主主義とは、多数決のみで全てが決する学級会とは違うのです!