院長の独り言 421 ;隅田川今昔

私が小学生の頃、実家の近くを流れていた隅田川の水は、泳げるほど綺麗でした。

色々な魚、例えば、セイゴやボラ、ハゼなど、網ですくえるほど、沢山見ることも出来ました。

学校から帰ってくると、近所の友達と隅田川へ魚釣りによく行っていました。

しかし、ほんの数年後、私が中学生になった頃には、恐ろしいことに、隅田川は、ゴミがプカプカ浮いて、水は黒ずみ、魚影も無く、薄汚れた、汚い川に変身してしまいました。

とうとう、臭いニオイもするようになってしまい、少し前まではパリのセーヌ川の様だった隅田川が、東京のド真ん中を流れるには相応(ふさわ)しくない川になってしまったのです…。

その後、父親の仕事の関係で、豊島区大塚に引っ越してしまったので、隅田川から離れてしまい、いつしか隅田川の事は忘れてしまいました。

たまに、テレビや新聞などで、隅田川の汚染している姿を嘆いている記事は出ていましたけれども…。

隅田川が汚れてしまった最大の原因は、まれにみる戦後の高度成長期における工場からの垂れ流し排水が主な理由でした。

幼い頃、友人と川遊びに出かけ、魚を釣りに行っていたあの綺麗な川を思い出すと、本当に泣けてきます。

現在、私は多摩西部地区に住んでいます。

先日、品川に用事があり、その際、隅田川に観光遊覧船が存在することを知り、懐かしく思い、船に乗ってみる事にしたのです。

隅田川を間近で見るのは、おおよそ50年振りです。

品川埠頭から船に乗ってみて、本当に驚きました。

あの汚れきっていた隅田川が信じられないほど綺麗に蘇っていたのです。

私が子供の頃の隅田川とは少し違いますが、頬を横切る微風は海のニオイです。あの汚れて臭いニオイの川は消えていました。

魚の姿は確認出来ませんでしたが、近い将来に蘇る事は間違い無さそうです。

隅田川で一番、変わってしまった事と言えば、高層マンションが林立している河岸でした。

本当に日本は凄い実力を持ち、あらゆる面で素晴らしい国ですね。

この素晴らしい国を子孫に残したいと思うし、そうするのが、我々大人の義務ではないでしょうか。