院長の独り言 377 ; 今年は、桜の花の色が薄いですね
今年は、桜の満開がいつもの年より10日ばかり早く、4月にはもう散り始めています。
いつものように桜が散っていく桜吹雪は、豪華と云うか、寂しいと云うか、複雑な気持ちで花見見物をしています。
最近、思うのですが、東京の桜の花びらの色が白くなってきたような気がします。
桜も歳とともに、人間の髪の毛が白くなるように、脱色していくのでしょうか。
数年前はもっとピンクが強かった花びらのような気がします。
しかし私の好みでは、色の強い花びらよりも、白くなってきた薄ピンク色の花びらが、春の微風にのって散っていくさまが好きです。
背広やテレビなどは新品が気持ちよいですが、神社や五重塔は創建から数百年も経てからの年代物の方が、侘び寂びと云うか、時代の重みが出て来て素晴らしいのではないかと、古びたお寺さんを見学する度に感じます。
滅多に見られませんが、今日(こんにち)でも、新しい五重塔の建設を見る事が出来ます。
建ったばかりのどぎつい赤色の塔を見ていると、五重塔が随分、薄っぺらく感じてしまいます。
奈良時代、東大寺の大仏様を建立した時、当時の人々は出来上がった大仏様と東大寺の、真っ赤にド派手に塗られた建物や、金ピカの大きな大仏様を見上げて、果たして、どう感じたのでしょうか?
現在、寂びが出てきた荘厳な大仏様と渋く貫禄のついた東大寺に、我々は畏敬の念を抱いてしまいますが、金ピカの大仏様を見上げていた奈良時代の人々は本当に畏敬の念を感じていたのでしょうか。
その偉容に、ただド肝を抜かれて驚いていただけでしょう。
時を経ないと、現れない美しさがこの世にはあるのです。
桜の話からトンデモナイ話になってしまいました…