院長の独り言 375 ; いくら輪転機を廻せば、物価2%上昇なるのか?
安倍晋三総理の推薦通りに、日銀総裁が黒田東彦氏になりました。
黒田総裁は安倍総理と同じ意見で『2%の物価上昇を確実に進める』と、就任の挨拶で強調していました。
2%の物価目標を推進するには、想像以上のお金を増刷しなければなりませんね。
本当に目標を完遂するためには、多分、イヤ、絶対に!かなりのインフレに成らざるを得ないでしょう。
何しろ、想像以上のお金が市場にバラまかれるのですから。
もしもデフレを脱却して、適度のインフレ(リフレ)に移行し、なおかつ景気が回復したら、万々歳ですが。
それを期待して、見越すかのように、株価が上昇しだしています。
いや、ミニバブルを期待しているからでしょうか。
あの昭和から平成にかけての大きなバブルを経験している小生としては、夢よ、もう一度!と、内心、少しは期待しているのですが…。
あの時は、インフレ状態で猶且つ大好景気でした。
東京、大阪、名古屋、博多、札幌、仙台と全国、隈無く、土地やマンションが売れただけでなく、土地の値段や株価も上がりましたし、それ以上に収入が増えたのです。
ゴルフ場も接待のお客で大入り満員でしたし、デパートもお客で溢(あふ)れていました。
確かに景気がいき過ぎた傾向(きらい)はありましたが、当時を振り返ってみると、みんな元気発剌(はつらつ)、明るく嬉しそうでした。
止せば良いのに、何を心配したのか知りませんが、政府と日銀は、強烈な景気引き締め策(宮沢喜一内閣の総量規制法)を急に採ったのです(ハードランディング)。
結果、アッと言う間に不景気になってしまい、日本経済はドンドン縮小してしまい、現在に至っています。
有名な大会社も、かなりの数が倒産しました。
中小企業は、どの程度潰れたのか見当もつきません。
自殺者も数えきれないほど出ていたのに、不思議な事に、好景気を不景気にしてしまった事に対して全く総括されていません。
要するに、責任を取る人がいなかったのです。
今回、政府と日銀が行うインフレ策は、あのバブルの後の景気引き締め策の逆の政策です。
バブル後の政策失敗経験を生かして、いき過ぎたインフレにならずに景気が回復するように心から願っているのですが、失敗の総括をしないまま2%の物価上昇を目標に掲げましたが、そこが一寸心配ですね。
必要な物をみんなが持っている昨今、2%の物価上昇には、輪転機を何回まわして、お札をいくら刷れば良いのでしょうか?