院長の独り言 358 ; 裕ちゃんと高度成長期
私が大学生の頃、邦画と言えば、石原裕次郎や小林旭主演の日活映画が、大人気をはくしていました。
石原裕次郎は『裕ちゃん!裕ちゃん!』と呼ばれて、その人気は特別で、当時、野球界の大人気者である巨人の長嶋と張り合っていたのです。
裕ちゃんは、現在も政界で活躍している石原慎太郎衆議院議員の弟さんです。
慎太郎氏は23歳の時、小説『太陽の季節』で芥川賞に輝きました。
『太陽の季節』は、それまでの小説にない、高度成長期の若者文化を赤裸々に記した作品です。
太陽族と云う若者たちを生み出したのです。
海とヨットと若い男女が主役と言えば、みなさん小説の内容がだいたい想像がつくと思います。
あの障子を破る場面は衝撃でした…。
その映画化で、裕ちゃんが俳優としてデビューしたと云うわけです。
勿論、裕ちゃんもハンサムですが、裕ちゃんが映画界にデビューするまでは、男優のスターといえば、佐田啓二や鶴田浩二、あるいは長谷川一夫といった、顔の整ったオーソドックスな、所謂(いわゆる)、美男子でした。
言葉を変えれば、男優スターは『優男』と言った感じでした。
ところが、昭和30年代に入って、丁度、日本が高度成長期に入った時期に引っ張られるように、裕ちゃんや三船敏郎のような野性味をプンプンさせた男優が、映画界の人気者になったのです。
三船敏郎は、黒澤明監督のもとで、時代劇を中心とした、チョット硬派な娯楽作品に多く主演し、世界的な大スターになりました。
一方、裕ちゃんは痛快娯楽映画で邦画の大スターになったのでした。
今日では誰も口にしない『イカす!』は、裕ちゃんが流行(はや)らせた台詞(せりふ)です。
裕ちゃんや長嶋が、人気の頂点に立った昭和33〜35年頃は、政界では、安保闘争で、世の中は騒然としていました。
私も大学生でしたが、デモの集団に入り、国会議事堂の中庭に友達たちと乱入して機動隊とにらみ合った経験があります。
本当の話ですよ。
東京タワー、カラーテレビ放送、新幹線…と、我が国日本がいろいろな面で勢いづいてきた『岩戸景気』の始まりでした。
そう言えば、先頃亡くなった大横綱の大鵬も活躍していました。
『巨人 大鵬 卵焼き』は、今でも語られています。
デモでも、スポーツでも、経済でも、良い悪いは別にして、当時は世の中、たいへん活気がありました。
日本があらゆる面で右肩上りに上昇するものと、国民みなが信じていたので、みんな顔が輝いて、希望を持って生きていました。
まさか50年後に、こんなに不景気の時代が訪れようとは、小生も思ってもいませんでした。
アベノミクスの成功を祈るばかりです。
その成果は、本年7月21日の参院選後に、明らかになるはずです。
神様!仏様!稲尾さま!って、今回のブログは、さすがに古すぎたか…。