院長の独り言 319 ; 東京国立博物館特別展『北京故宮博物院200選』の招待券を頂きました!

患者さんのKさん、展覧会の招待券を、いろいろプレゼントしてくれます。
今回も、東京国立博物館特別展『北京故宮博物院200選』の招待券を頂きました。
Kさん、いつも本当に有り難う御座います!
2月18日(土)に、家内と行ってきました。
当日は気象情報によると、今年一番の寒さだそうです。
昨晩から、都心でも雪が降っていたくらいの寒さですから、午前10時前に博物館に着けば、少しは空いているのではないかとハリキッたのです。
上野に10時前に着いたのですが、お年寄りを中心に多くの人々が、寒いにも関わらず、訪れていました。
どうやら、われわれの考えが甘かったようです…。
中国の内戦で敗れた蒋介石が、明時代から清時代の故宮秘蔵の名宝を、台湾に運んでしまったようですが、それでも、現在の北京故宮博物院には180万件を超えるコレクションを所蔵しているとの事です。
その膨大な文物から、選りすぐりの名宝200点が今回、展示されました。
宋、元時代の書画、宮廷絵画、紀元前11世紀の商時代の精巧な青銅器、色々な時代の漆器や陶磁器など…、多彩な名品がずらりと並んでいました。
私が一番、吃驚(びっくり)したのは、『行書』の展示されているコーナーで、ある漢書に、日本の『平仮名(ひらがな)』が漢字の中に混じって書かれていたのです。
何故、平仮名が漢字に混ざって書かれていたのか、本当に不思議に感じました。日本と中国でどのような交流があったのでしょうか。
平仮名は我が国の発明した文字です。
『ふ』や『つ』が、漢字の中にポツンポツンと混じっているのですが、それが文を引きたてている不思議さがありました。
多くの見学者は関心が無いのか、平仮名の存在を気にもしないで、通り過ぎていました。
長い漢文に、平仮名が交じっている理由を、係の人に尋ねたかったのですが、生憎、周りにはそれらしき人は見当たりませんでした。
漢字は勿論、水墨画や陶磁器など、中国から伝わってきた文物が多いのを、思い知らされたのも確かですが、その文化を、本家よりも見事に成熟させた我が国の先達も、たいしたものだと感じ入りました。
このような展覧会を訪れると、いつも思うのですが、千年も二千年も前の人の書画や工芸品の精緻な美しさには、毎回、感心させられます。
ヨーロッパの古い美術品や今回の中国の美術品を観ても、技術は、積み重ねによって、少しずつ進歩はしていますが、脳細胞の程度は2千年前の人も、5千年前の人も、現代人も全く同じだと思いました。
科学技術は進歩していますが、最近の美術や文学の芸術は、奇を衒った表現がまかり通って、人間やその生活と遊離しているようで、ヒョッとしたら凋(しず)んできているのではないか。
人間の有り様は、このままで良いのか。
と、古き芸術家たちに、心の中で問い掛けていました…。

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