院長の独り言 250 ; 歯科用CTの導入で、歯科治療の質が劇的に向上しました!
歯科用のコンピューター断層撮影機器(Computed Tomography 以下、CT)が無いと、石川歯科では、正確な診断と治療、特にインプラント治療が正直、怖くて出来ません…。
通常、歯科で用いるレントゲン画像(1~2歯分を撮影する『デンタルレントゲン画像』と、アゴを全体的に撮影できる『パノラマレントゲン画像』)は、二次元しか診断出来ないのです。
平面で写るパノラマ画像を診ると、一見、治療の必要性を感じなくても、同じ部位を、CTで撮影した三次元レントゲン画像を注意深く観察してみると、思わぬ病変にぶち当たる事があります。
二次元的には、何でもなく見えていた部位も、三次元的に横から裏から診てみると、腫瘍が隠れていたり、太い動脈が歯根に近接している場合も稀ではないのです。
特に、インプラント治療を計画している場合、隣接する歯に、炎症が少しでも認められたら、躊躇(ちゅうちょ)なく、まず隣接する歯の治療を優先して行い、病巣を完治させなければ、折角、埋入したインプラント(人工歯根)が感染して、駄目になってしまう場合もあるのです。
二次元的なレントゲン画像では、病変の存在を認めなくても、三次元的に診ると、インプラント埋入部位に近接している歯に、異常が発見されるのです。
インプラント治療を希望して来院する患者さんは、歯が欠損しているくらいですから、40歳以上の患者さんが多いので、元々、歯周病に罹患していたり、不十分な歯の神経処置(神経処置;虫歯で歯髄を取ってしまう処置)を施している場合が多いからです。
神経処置をした歯の二次元のレントゲン画像を診て、平面的に病変を認めなくても、歯髄の複雑な構造上、歯髄の湾曲や側枝(歯髄の小さな枝)の存在などの関係で、治療後、数年間ほど経ってくると、治療した歯根の先端に、『うみの袋』が形成される場合があるのです。
歯の中には、幹となる主たる歯髄と、その幹から、細かい血管や神経の枝が生えているのです。
これを側枝といいます。
これはCT画像でないと、歯髄の湾曲の程度や複雑な側枝の存在を把握する事が、困難なのです。
二次元のレントゲン画像だけでの診断で、インプラント治療の経過が良好でホッとしていても、インプラント埋入から4~5年間、経過すると、インプラントの周囲組織が炎症を起こしてしまう症例があります。
そして理由が分からないと、歯科医から相談されるのです。
早速、CT画像で診てみると、案の定、近接している歯の炎症がインプラントに及んでいると診断できました。
二次元のレントゲン画像では、問題なく診えるのに、CT画像では、根の裏に大きな病巣が写っていました。
このような症例が存在する以上、あらゆる歯髄の治療でも、CT撮影が必要な気がしてしまいます。
問題は、CT撮影が1~2歯を撮影範囲とするデンタルレントゲン写真に比べると、少し被爆量が多い事です。
しかし、歯科用CT(コンビームCT)は、医科用(ヘリカルCT)と比較すると、断然、被爆は少ないのです。
例えば、下顎臼歯部のインプラント埋入や、下顎の親知らず(第三大臼歯)抜歯の場合、下歯槽管という、太い動・静脈、神経が直ぐ側(そば)を走っている症例が結構あるので、CT撮影は必須に思えます。
この動脈や神経を傷つけると、大出血や下唇のマヒなど、大変な事になる訳です…。
30年以上前に、パノラマレントゲン装置が歯科に導入された時も驚かされましたが、石川歯科で4年前にCT撮影機器を導入した際、CTを活用した診断の正確さには、小生、本当に驚きました。
きっちりと診断が出来ると云うことは、治療計画が正確に立てられると同義なのです。
CT様々(さまさま)という事ですね。