院長の独り言 243 ; NHKの朝ドラ『おひさま』の今後の展開に思う…

現在、NHKの朝の連続テレビ小説『おひさま』では、第二次世界大戦戦中の張りつめた空気の日本を、ドラマ化して放送しています。
私もそうですが、私より年長の人にとっては、昭和10年代の開戦前から20年代の敗戦後の辛い経験を、本当は思い出したくもないでしょう。
家族や親族をはじめ、親しい友人などの戦争犠牲者が周りに大勢いたのですから…。
敗戦末期は、空襲のサイレンに怯えて、防空壕の中でハラハラ。
勿論、食事を満足に摂る事も出来ませんでした。
『勝てば官軍 負ければ賊軍』
これは戦争をやる以上、勝たなければ意味が無いと云う経験からの教えです。
識者の中には、『戦争に勝ち負けは無い!』と分かった風を言う人もいますが、負け戦(いくさ)ほど惨めなものはありません。
当然ですが、敗戦後の日本各地では、占領軍の兵隊が勝ち誇って、街中を闊歩(かっぽ)しており、その姿を少年であった私も、屢々(しばしば)目撃したものです。
着の身着のままで焼け出された敗戦国民を前に、青い目の奥さん連が綺麗に着飾って、大きな声で笑い声を上げ、ハシャイでいました。
それを横目で見ている惨めさは、子供だった私でさえも、悔し涙で泣けてきた思い出があります。
戦争は人間同士の殺し合いです。
いくら双方にどんな事情があっても、本来、戦争は極力、避けるべきが当然でしょう。
しかし、軍事力に勝る相手が無理難題を突きつけてきたら、国は一体どうしたら良いのでしょうか。
黙って相手の国の言う事を聞いていれば、最終的には属国にされてしまいます。
当時の我が国は、戦争を避けたくても、否が応でも戦わざるを得なかった理由があったに違いありません。
世界史で皆さんも習っていると思われますが、当時、帝国主義国であったイギリス、フランス、ソビエト連邦、そしてアメリカなどの欧米の白人国家が、アフリカ全土、南米、北欧、東欧、そして日本を除くアジア全体を植民地として支配していました。
特にアメリカは、その溢れる工業力を背景に、中国全土を新たな市場にすべく、その障壁となる日本を攻めて来たのです。
イギリスやフランスが、インドや中国をいとも簡単に攻略して、支配下に置いた状況を目の当たりにした、明治の日本の為政者は、今度は日本がやられると深刻に思ったに違いありません。
特に、あらゆる面で兄貴分と思っていた大国中国が、あまりにも簡単にヨーロッパ諸国に貶(おとし)められてしまったのには、大きな衝撃を受けたに違いありません。
おまけに、北からはソ連が南下政策を掲(かか)げて、北東アジアを手に入れようと機を窺(うかが)っていましたし、太平洋側からはアメリカが中国の利権を手に入れようとしていたのです。
そのような東アジアの地政学的な状況下、孤立無援で、否応なく頑張らざるを得なかったのが、当時の日本だったのです。
A(アメリカ)B(イギリス)、C(中国)D(オランダ)の、所謂、ABCDラインの包囲網で、石油や鉄などの工業原料材料が全くと言って良いほどに手に入らなくなってしまった結果、日本は開戦に踏み切らざるを得なかった訳です。
しかし、いくら頑張っても、所詮、国力の差は如何とも難(しがた)く、結果は、皆さんご存知の如くです。
日本が惨敗していく、これからの朝ドラ『おひさま』を、私は本当は見たくないのですが…。
ただ第二次世界大戦の後、アジア、アフリカ、南米などの植民地が、全て独立国になったのは事実です。
この事実は、東南アジアやアフリカ各国では、良く認められているのです。
世界から植民地が消えたのは、日本の頑張りと大きな犠牲のお陰といっても過言ではないでしょう。
我が国は、この事実を誇りに思うべきなのです。

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