院長の独り言 101 ; オルセー美術館展2010に行きたくて…
5月末から8月半ばまで、東京六本木の国立新美術館でオルセー美術館展2010を開催する事を知って、是非、もう一度オルセーの秘蔵絵画を鑑賞したくなりました。
パリのオルセー美術館には一度、ルーブル美術館には二度行っています。
以前のブログにも書きましたが、小学生の頃、担任の先生に『絵が上手い!』とおだてられて、大して上手くもないのに絵を描く事や鑑賞する事が好きになってしまったのです。
初めてパリを訪れた時に、以前からどうしても行きたいと思っていたルーブルとオルセー美術館を早速訪れ、モネ、セザンヌ、ゴッホ、ルノワール、ゴーギャンなど、世界的に名の知られている画家の素晴らしい絵画を、家内と二人で堪能してきました。
二度目のフランス旅行の時は、ルーブル美術館を訪れた次いでに、ジヴェルニーのモネの庭も見学してきました。
そのモネの館で一番驚いた事は、広重、歌麿などの描いた有名な浮世絵が沢山展示されていた事です。
モネがジャポニズムの影響を受けている事は側聞していましたが、日本の美術館では見た事もない珍しい浮世絵をまさかフランスで多く観るとは思いも及びませんでした。
本当に、世界は広いようで狭いものだと感に入ると同時に、日本芸術が印象派に大変な影響を与えていた事をあらためて実感して、嬉しく思った次第です。
素晴らしい景色や由緒ある建物、そして、心を打たれる絵画や彫刻などの美術品は、同じものを何度見ても、感動してしまいます。
今度は東京でオルセー美術館秘蔵の有名な作品を鑑賞出来るので、直ぐにでも見に行きたいのですが、思いは皆同じようで、大変な混雑との事…。
少し様子を見て、空くのを待っている状態です。
若い頃は、どちらかと云うと写実的な精密画に心動かされたものです。
カラー写真のように、あるいはそれ以上に精密に描くのを観て、人間業ではないと思って感心していましたし、それを描いた画家の事を自分では絶対に描く事は出来ない別の世界の人と思っていました。
ところが、横山大観やピカソの抽象画は、不遜にも自分でも似たように描けるのではないかと内心思っていたのです。
ある時、大観やピカソが若い頃に描いた絵を偶然に美術本で観た時に、自分の浅はかさに恥ずかしく、大笑いしたのでした。
彼ら大家は、若い頃には素晴らしく、そして大変魅力的な写実絵を一杯描いている事が分かったのです。
無知と云う事ほど恐ろしい事は有りませんね…。
ピカソや大観は、若い頃、寝るのも忘れるぐらい絵の勉強をして、十分な基礎が出来た上で、自分なりに試行錯誤を繰り返し、あのような抽象画を描くようになったのでしょう。
初めからあのような摩訶不思議な絵を描いていた訳ではないのです。
初めからあのような抽象画を描いていたら、世界的に称賛される画家には成り得ないのだと、ツクヅク思いました。
抽象画の大家は、絵の勉強は勿論、きっと絵を描く以外の諸々の人生勉強も沢山したから大成したのでしょう。
結果は後からついてくるものなのです。
何事も大変な苦労と努力の上に、他人が認める成功が有るのだと思います。
まったく『ローマは一日にして成らず』ですね。