院長の独り言 95 ; 肉が食べたい!でも身体が…
昨日、久しぶりに夜、自宅でステーキを食べました。
小生は肉が大好きで、毎日でもOKなのですが、現在、メタボと云う事で控えているのです。
牛肉、豚肉などは動物性タンパク質を一番早く、しかも大量に身体に吸収する事が出来る食べ物です。
魚から同じ量のタンパク質を取り込むには、かなりの量が必要です。
動物性たんぱく質の摂取だけを考えれば、牛肉や豚肉を食べるに限りますが、コレステロールの事を考慮すると、魚肉の方が断然優れています。
全てが良いとは言えないのが世の常です。
菜食主義者のように、タンパク質を大豆などの植物性タンパク質だけから摂っていると、貧血になり易い事で知られています。
鉄分が上手く身体に吸収出来ないからです。
鉄不足になると、身体の隅々まで酸素や栄養分を運ぶ赤血球が機能不全になる事を、みなさん御存じの如くです。
鉄にはヘム鉄と非ヘム鉄があり、前者は動物の肉、主にレバー肉に多く含まれていて、身体に大変吸収され易いのですが、後者は植物に存在していて、身体に吸収され難いのです。
タンパク質を大豆などの植物から主に摂取していると、特に女性は貧血に陥り易い訳です。
自分は戦争をはさんで成長期に、殆ど焼き肉やステーキを食べられなかった事もあって、成長が止まった今、肉を沢山食べたくなるのは、自分では全く意識していないのですが、もとを取ろうと心の奥で思っているのかも知れません。
卑しい根性とは自覚しているのですが、これも『戦争の後遺症』と諦めているのです。
身体に一番いいタンパク質の摂取の仕方は、幼児から高校生の頃までに動物性タンパク質を十分摂り、成長が止まったら補給する程度に控え目にして、主に植物性タンパク質も摂るようにすべきです。
私などは、動物性タンパク質を摂らなければならない成長期にあまり食べる事が出来ず、沢山摂っては駄目な成人になってから、結構食すと云う健康面から考えると最悪なパターンと言わざるを得ません。
つまり、昭和10年前後に生まれた人は、動物性タンパク質をキチンと摂取しなければいけない子供の時は戦争の影響で満足に取る事が出来ず、肉を控えなければいけない大人になってから必要以上に食べているのです。
日本が経済的に右肩上がりに良くなった、いわゆる高度成長期になったので、肉など美味いものを食べられるようになった事が却って寿命を短くしてしまっている事は本当に皮肉な現象です。
コレステロールが多くなると、血管など循環器系がもろくなり、脳出血、脳梗塞、心筋梗塞といった命に直結する病気に罹り易くなる事はよく知られるところです。
自分も含めて、この年代に生まれた人はその事をわきまえて、栄養のバランスを考えて身体を大切にするべきです。
若い人も今は牛肉など、十分食べられる世の中ですが、成長期が終わったら、健康には十分配慮して三大栄養素をバランス良く摂取するようにすべきです。
小生が子供の時は、食べたくても満足に食べられなかったのに、食べないように注意する世の中になるとは、隔世の感を心底感じて、いい世の中なのか、そうでもないのか複雑な思いをしています…。