院長の独り言 381 ; 山高ければ 谷深し

安倍総理と黒田日銀総裁のコンビによる金融政策の効果が出てきて、もしかすると、ミニバブルに突入するかも知れません。
随分、昔になりますが、今から約30年前の昭和60年、私が47歳になり、八王子で歯科医院を開業して13年経ち、何となく精神的にも落ち着いてきた時なので、よく覚えています。
入れ歯や補綴物(クラウンやブリッジ)を制作する時に、『保険の安い材料ではなく、自由診療で良い材料を使い、見た目も良く、なるべく違和感の少ない補綴物を希望します!』と訴える患者さんが、右肩上がりに増えて来たのです。
世の中の景気がよくなってきたと、大いに実感しました。
若い人も、お年寄りも、何となく明るい感じが身体から発散してきました。
敗戦後、食べるだけで精一杯の世の中から、明るく浮き浮きし出したのです。
それから、一年、一年、経つごとに、景気がよくなり、その結果、JRや私鉄の駅前には大きなビルが、林立する状態になっていきました。
車も、トラックのような商業車以外に、乗用車が驚くほど増加していったのです。
車社会の到来です。
関東地方で云えば、『首都高速道路』や『第三京浜』が整備され、大動脈『東名』『名神』など、高速道路を中心に、全国で、一般道路も瞬く間に整っていきました。
一戸建ての住宅や高級マンションも飛ぶように売れていました。
ところが、景気が加熱していると判断した政府と日銀は、総量規制法を施行し、アッと言う間に景気が落ち込み、なかなか回復しないまま年月だけが過ぎて行ったのです…。
バブル崩壊と失われた20余年間です。
信じられない光景でしたが、バブル崩壊当時、東京駅のプラットホームにあがる階段に、キチッとしたネクタイを付けた背広姿の紳士が、何人も疲れた姿で座っていました。
全員が泊まる場所も無い、いわゆるホームレス状態のようでした。
察するに、借金が返せなくて、何処からか逃げて来ていたようでした。
バブルが弾けると、本当に悲惨な状態になるという悲しい風景を見せつけられ、
その時の茫然自失して、目つきのうつろになった紳士達の青い顔だけを思い出してしまいます。
今回のアベノミクスにより、ミニバブルが上手くいくように心から祈っています。
あのバブル崩壊を思い出し、『もし弾けたら…』と心配もしているのです。
曰く、山高ければ 谷深し…

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