院長の独り言 316 ; 信じられないほどの驚き!

目の話をしたいと思います。
還暦を迎えるまでは、視力は然(さ)ることながら、色彩を見極める眼力に関しても、相当に自信がありました。
それは、随分前のブログでも書きました(院長の独り言 221 ; 老眼鏡は大のお友達)。
今回は色盲の話です。
『エッ!嘘!』と驚くことが、誰でも、たまにはあるものです。
例えば、素朴で長閑(のどか)な東北の街並を大津波が襲った後、瓦礫の山と化した景色には、エッ!嘘!と息を飲んでしまいました。
大津波に襲われて、家も車も流されていく映像は、CGの世界のようでしたが、現実の出来事です。
話は全く違うのですが、『エッ!信じられない!』とビックリした出来事を、中学生の時に体験したのです。
今朝のNHKの番組でもやっていました。
色覚異常、いわゆる色盲(色弱)の話です。
その後、色々驚かされた出来事は数えきれないほど経験しているのに、この事だけは、いつも思い出してしまうのです…。
それは、親父の仕事の関係で、官舎に入居した時の話です。
古い家なのですが、結構、広い庭付きの官舎でした。
八畳間から、庭が綺麗に見え、5月になると、正面の庭に真っ赤なバラの花が見事に咲き誇るのです。
お袋は『本当に真っ赤で素晴らしいバラ!』と感心して見惚れていました。
私が中学生になった年の梅雨に、例によって、お袋と一緒に真っ赤なバラを見ながら、『人間では、この見事な深紅の色は絶対、創り出せないね』と、バラ談義をしていた時です。
丁度、兄貴が学校から帰ってきて、我々二人の様子を不思議そうに見ながら、『そんなに感心して、何を見ているの?』と尋ねてきたのです。
『こんな見事な真っ赤バラ。こっちへ来て見てみなよ!』
『滅多に見られないよ!』と誘ったところ、兄貴は怪訝そうな顔をして、『何処にバラが咲いているの?』ときたのです。
一瞬、兄貴が何を言っているのか、理解出来ませんでした。
兄貴の手を引っ張って、花の前に呼び、赤いバラを指差して、『ほら、こんな真っ赤で凄いだろ!』と詰(なじ)るように言ったのです。
ところが、兄貴は『よく見れば、周りの葉っぱと同じ色の花びらがあるのは分かるけど、一つも綺麗じゃないね!』と宣(のたま)ったのです。
お袋と私は、目が点になるほどビックリしました。
皆さんお察しの通り、兄貴は色覚異常でした。
色覚異常にも色々あるのですが、兄貴は赤緑色盲と云って、赤色と緑色が同じ色に見えて区別の付かない、先天的な色彩異常なのです(後天的もある事はありますが、今回は先天的の色覚異常に限ります)。
交通信号の赤と青の区別がつかないので、事故にも繋(つな)がってしまうので怖い事もあります。
赤緑(せきりょく)色盲の兄貴は、勿論、自動車の運転はしません。
色彩異常でない私にとって、赤と緑の区別が出来ないとは、本当に『エッ!嘘!』と云った感じだったのです。
ところが、赤緑色盲の人は、残念ですが、区別がつかないのです。
普段の生活には、何の支障もありません。
色盲は、X染色体の異常なので、X染色体が一つしか無い男性は、女性より色覚異常の人が多いのです。
女性の場合、X染色体が二つなので、片方の染色体が異常でも、色は正常に見えます(潜在色盲)。
X染色体が二つある女性は、色盲はほとんどありません。
女性は長生きするし、何でもうまく出来ていますね~。

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