院長の独り言 155 ; 両親との九州旅行(パート5) 別府温泉編

最終目的地の、湯煙昇る別府温泉郷に到着しました。

別府温泉は市内に数百もの湯元が存在するそうですが、見つかった順番から8か所に分けて、所謂、別府八湯と呼んでいるのです。

赤い色の温泉『柴石』、湯の花が採取出来る『明礬(みょうばん)』、『亀川』、『堀田』、地獄湯巡りの中心の『鉄輪(かんなわ)』、『浜脇』、『観海寺』そして繁華街で有名な『別府』の八湯を指します。

随分昔の事なので、実を言うと自分は何処の旅館に泊まったのか忘れてしまいました…。

和風旅館であった事は覚えているのですが、夜の食事も何だったかも殆ど忘れてしまったのです。

関サバだか関アジの刺身が出た事は確かだと思うのですが、多分、一般的な懐石料理だったんでしょう。

只、何時もは少食のお袋が珍しく、残さずに全部食べていた事だけは記憶に残っているのです。

翌日は温泉郷の地獄谷巡りをしたのですが、グツグツと沸騰している池、真っ赤な池、青い池、そしてモクモクと水蒸気の上がる谷など、それぞれの特徴がある名勝を一日かけて見て歩きました。

市内のアチコチが湯煙で霞んでいて、全く街全体が温泉そのものです。

ちなみに入浴可能な温泉の噴出量は別府が世界ナンバーワンだそうです。

ここで両親にプレゼントをした九州の観光旅行も計画通りに無事済みました。

異国情緒溢れる長崎から始まり、いかにも日本の名城を堪能した熊本、昔ながらの面影一杯の小国と杖立、最後に世界で一二を競うカルデラ火山の阿蘇と別府温泉。

観光した各所、個々に特徴のある素晴らしい九州旅行が出来て、兄貴夫婦も我々夫婦もホッとしました。

東京に帰ったら緊張が緩み、疲れがドッと出て、翌日は一日中、寝込んでしまいました。

この九州旅行に行った後から、毎年、お正月に実家に遊びに行った時、必ずこの観光旅行の事が話題に上がり、何時も寡黙な親父がニコニコしながら旅行での出来事を楽しそうに話していました。

勿論、日本酒付きでしたが…。

お袋も相槌を打ちながら、丹誠込めて作った石川家伝統のおせち料理を出して呉れ、賑々しいお正月に成るのが定番になってしまったのです。

小生が子供の頃は、父親が仕事一筋の人間で、母親はと云うと殆ど家から出ないで腕白息子達と姑の世話で明け暮れ、趣味と云えば近所の友達と暇を見付けて三味線を楽しんでいた程度でした。

勿論、我々息子は友達と外で遊んでいたので、家族の共通の話題がほとんど無かった事になります。

この九州旅行が格好の話題作りに成ったのです。

しかし、この話題は上の兄弟2人だけで、旅行に行けなかった下の兄弟の2人の弟達には可愛想そうですが、旅行の話題に入れないのは止むを得ません。

この九州旅行から30年間以上経って、旅行記念の家族写真を医局員に見せたところ、みんなが異口同音に『先生、お父さんとお母さんにソックリ!』と言われました。

『ひとは歳を取ると、面影が両親に自然と似てくる…』とは良く言われますが、嬉しいのか悲しいのか複雑な心境です。

遠い昔の自己満足の思い出話でした。

(今回で 『両親との九州旅行』 は終了となります)

九州旅行家族写真のコピー