院長の独り言 156 ; 幼いお子さんをお持ちの親御さんは注意!!

久し振りに歯の話をします。

一生に一度だけ歯が生え代わる事を知らない人は、まず居ません。

乳歯は上下のアゴそれぞれ10本ずつで、合計20本生えます。

ある年齢になると、その乳歯は永久歯に生え代わります。

特に食物をスリ潰すのに有効な奥歯、所謂、大臼歯は第一大臼歯から第三大臼歯(通称、親知らず)まで上下の合計で12本生えます。

前述したように、乳歯の生え代わりの永久歯は、大臼歯の手前の、前歯から小臼歯まで合計20本です。

要するに、永久歯は、前歯から親知らずまで合計32本生えます。

咀嚼に大活躍する大臼歯は、乳歯の生え代わりの歯では無く、乳歯と同じで、拡大解釈すれば、一生一回しか生えてこない乳歯群に含まれるとも考えられます。

乳歯の一番後ろにある第二乳臼歯の更に後ろに生えて来る、この第一大臼歯は別名『6歳臼歯』とも言われる様に、まだ歯磨きが上手に出来ない幼児のうちに口の中に出て来てしまうのです。

親が余程、注意して口腔清掃を手伝ってあげないと、直ぐに虫歯に成ってしまう恐れが有るのです。

特に、口の中に萌出したばかりの永久歯は、歯の最表層にあって歯を守るエナメル質がまだ幼弱で、その量も少なく、成人の硬度の高い歯よりずっとヤワなのです。

此の時に手入れが悪く、第一大臼歯を虫歯にしてしまい、歯痛を起こし、歯髄処置(一般には『歯の神経を抜く』と言われています)を施したり、あげくは抜歯して歯を失う事にでもなれば、噛み合わせのバランスが崩れて、一生、歯医者と縁が切れなくなってしまいます…。

ご両親を始め、オジイちゃんとオバアちゃんもその事実を踏まえて、チビさん達に砂糖の一杯入ったお菓子を与える時は、食後、歯磨きを欠かさないように注意してやって下さい。

小さい子供の口腔衛生は、ご両親の管理次第。

良くも悪くも親の関心の程度で、その子のお口の運命が決まります。

欧米諸国では、虫歯、噛み合わせ、歯並びなど歯に関しては、幼い時から熱心にケアしています。

先日、訪れた東欧でも矯正治療器具を付けている子供を街で沢山、見かけました。

彼らはわれわれ日本人と文化が異なり、挨拶でキスをし、より顔を近づけて話をするので、口腔の清掃に十分、注意しているのかも知れません。

しかも日本のように歯科治療に保険が効かないので、その治療には高額な治療費が掛かるために、なるべく関わらないように頑張って歯を磨くのでしょう。

食生活では、シッカリと咀嚼しなければ消化できない肉を常食としている事も関係するのだと思います。

しかし、われわれもウカウカと出来ません。

身辺からドンドン国際化している、グローバリゼーションの世の中です。

口を手で隠してのコミュニケーションではみっともナイですし、魚の漁獲量は減り、肉を食べる機会も今後、増加するでしょう。

健康保険制度だって、昨今の財政難では、いつまで現状を保てるのか分かりません…。

『歯は命』と言われている昨今、精神衛生上から見ても、食生活の面から考えても今後、益々、歯の重要性が注目されていくと思われます。

皆さん、是非、歯を大切にして下さい。