院長の独り言 77 ; 病気とは良く言ったものだ

怒れば交感神経が興奮するので、動物は、攻撃態勢になります。

人間の場合は、毛細血管が緊張して締まるので、顔は青くなり、眼は瞳孔が開き眼光鋭く、まるで仁王様状態です。

逆にリラックスして穏やかな目をしている時は、副交感神経が活発に活動しています。

そして胃の活動が良くなるので、美味しく食事が出来ます。

この浮世では怒らなくても、普段知らず知らずに緊張状態でいる時が多い事を、みなさん常に感じていると思います。

われわれ現代人は交感神経がいつも興奮気味なのでしょうか…。

一方、いつも安らかな気持ちでいる事も、あながち良いとは言えないのが本当に面白いところです。

私の歳になると、徒に安らかな気分でばかり居ると、今度は『認知症』が心配になります。

緊張しすぎても、気を抜き過ぎても、危険が大いに有ると云う事です…。

実際、知り合いのサラリーマンの人が、仕事上の付き合いが原因で『鬱症』になる人が結構いるようですし、大学の教授、校長先生など定年退職して気が緩み、何もせずに安らかな気持ちになると、『認知症』になる人が出ると聞きます。

この頃、歯科の治療に来院する方の中に、舌の先や縁に耐えがたい疼痛を訴えて来院する患者さんが、以前と比較すると増加してきたように思います。

そして、頭痛や顎関節痛を訴える患者さんも以前と比べると増加傾向に有ります。

勿論、口内炎で食事時に舌が痛いとか、歯のかぶせ物が不良で、舌を変に刺激したり、顎を交通事故でぶつけてしまい顎関節痛を起こしているなど、原因がはっきり分かっている場合は別ですが、痛みの理由がはっきりせずに、舌や顎関節の慢性痛が起こる場合が多々診られます。

この原因がハッキリしない慢性痛に、患者さんの心の状態が関係することが、最近知られてきました。

原因不明の舌痛や顎関節痛が出た時、通常の歯科治療ではなかなか完治しない場合でも、心の方面から治療すると効果が上がる場合が多いのです。

わが医院でも、心療内科や精神科の医師と連携して、痛みの治療を行う機会が増えています。

昔の人は『病気』と、よくぞ名付けたものだと本当に感心します。

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