院長の独り言 24 ; カルタゴの教訓
昨年の秋に、『古代カルタゴとローマ展』を家族と見に行きました。
カルタゴは紀元前8世紀頃に、現在のチュニジア共和国の首都チュニスに近い湖の東岸にあった古代都市で、現在は歴史的遺構で有名です。
その展示物は素晴らしく、その当時の繁栄が偲ばれ、保持していた科学技術もさる事ながら、全ての面で周辺国を凌駕していたと思われます。
カルタゴの建国から繁栄、そして国が崩壊していく歴史も、詳しく展示されていました。
紀元前820年頃に国が出来、そして紀元前6世紀にカルタゴは西地中海の覇者となり、さらに勢力をのばし、北アフリカの沿岸や内陸部まで領土を拡大していきました。
そのカルタゴが覇権国として君臨した理由は、海軍を中心にした強力な軍隊を持っていたからです。
紀元前5~4世紀にかけて繁栄の絶頂期となりますが、結局、他国の嫉妬をかい、特にギリシャそしてローマ帝国との戦いに敗れて、次第に自信を失ったのか、軍事力を最小限にして貿易すなわち経済で国を立て直そうとしたのでした。
良い時もあったようですが、最後には強大な軍事力を持ったローマ帝国に滅ぼされてしまいます。
そして、カルタゴは抹殺されて二度と世界史に登場してきません。
展示されている歴史書をここまで読んでいると、何だか背筋がブルブルと寒くなり、そしてゾッとしてきました。
どこかの国に似ているのです…。
明治から大正、昭和そして現代へと、日本が歩んできた道と。
多分、いま日本は、カルタゴのように消滅するのか、あるいは、素晴らしい未来を子供たちにプレゼント出来るのかの岐路に立たされているのだと思います。
そろそろ戦後60年以上も経っているのですから、自分の国くらいは自分たちで守る気概を持つべきではないでしょうか。
勿論、その道は、経済的な功利性など、色々なものを捨てる厳しい道となるでしょう。
しかし、日本を第二のカルタゴにしないように、そして子供たちの為にも、国民全員で真剣に話し合う時期にきているのだと思います。