院長の独り言 447 : 季節感ゼロ

中学生の頃、スイカとトマトは夏にしか食べられませんでした。

なぜならば、夏にしか売っていなかったから、当然と云えば当然でした。

そして野菜ではないけれど、お餅は冬の季節に雑煮にしたり、網に載せて焼いて食していました。

食べ物が季節そのものを表していたのです。

スイカやトマトが食卓に並んでくると、夏が来たと思うし、柿だと秋、ミカンだと、もうすぐ寒い冬の到来と反射的に感じていました。

夏のスイカやトマト、冬に食べるお餅だけではなく、以前は、春夏秋冬の食べ物はその季節でハッキリしていたのです。

今時、スイカでも、トマトでも、柿、ミカン、お餅でも一年中、出回っています。

食べ物で季節感など感じるなんて無くなってしまったのです。

現在の子供は、年がら年中、スイカでもミカンでも、季節関係無く目にしているので、全ての野菜や果物、食物が、冬でも夏でも日本中で育っていると思っているのでしょうか。

スイカもトマトも夏野菜とは思っていないでしょう。

外国からジャンジャン一年中、輸入しているんですからね。

食べ物然り、服装然り、季節感がドンドン薄れてきました。

小生が若い頃は、お酒にも季節感がありました。

夏は冷えきったビール、冬は熱燗が通り相場でしたが、今は凍える寒い夜に冷たい生ビールを飲んだり、夏に熱燗を美味しそうに飲んでいる世の中です。

何処のウチも冷暖房完備ですから。

住み良い世の中になりましたが、フッと寂しく感じることがあります。

昔、夏はパンツいっちょうでウチの中を走りまわり、冬はこたつに入って丸まっていたので、母に『子供は風の子、外で遊んでおいで!』と、お尻を叩かれていました。

こたつなんか今は目にする事もありません。

邪魔で、邪魔で、今時、使っているウチなんか、ほとんどないのではないかなぁ。

でも、昔を懐かしんでいる自分は、昔か今か、ドチラに住みたいかと聞かれれば『今!』と即答せざる得ないのを、情けないと本当は思っています。

お笑いください。