院長の独り言 445 : 昔は魚ばっかり食べてた
小中学生の頃、動物性タンパク質の食べ物と云うと殆ど魚でした。
トンカツがたまには食卓に上ることもありましたが、牛肉はまず食べませんでした。
牛肉といえば、我が家ではすき焼き料理が1年に一度、出れば良いとこでした。
しかし、そのすき焼き料理も牛肉は少なく、野菜たっぷりの今思えば悲しすぎるすき焼き料理…。
さぞかし身体には良かったすき焼き料理だったと思います。
ましてや、ステーキなど見たこともありませんでした。
大人になってステーキを初めて食べて、こんな牛肉の食べ方があるのだとビックリしたのを思い出します。
その反動と言えば何ですが、毎日と云うほど魚は食していたのです。
理由は、オヤジが無類の魚好きであったことと築地の近くに住んでいたからです。
築地は皆様ご存知のように、市場の中に大きな魚河岸があるのです。
近くの魚屋さんが毎日、魚河岸から新鮮な魚貝や海藻類を仕入れてきて、ウチの近所に安く売りに来ていたのです。
今から思えば、逆に贅沢だったのかも知れません。
中トロ、大トロ、赤貝、青柳,アジ、わかめなど何でもござれ。
朝はみそ汁の具や干物に、夜は刺身や焼き魚などなど…。
夜、仕事を終えて帰って来たオヤジが、着物に着替えて日本酒を口にしながら刺身を美味しそうに食べていた姿を思い出します。
その横で、お袋も嬉しそうにオヤジの満足そうな顔を見ていたのです。
われわれ腕白な息子たちも、お相伴に預かっていたので、結構、新鮮で美味しい魚は小さい頃から食べていました。
今時、牛肉や豚肉、鶏肉は、東京の何処でも簡単に手に入ります。
却って、大トロや中トロ、ヒラメ,赤貝、アワビなどの新鮮で美味い刺身などはかなり高くなっています。
あの時、オヤジの魚好きのお陰で、中学生の私も美味しい新鮮な刺身を口にしていました。
今になって、特別に美味しい刺身を口にする機会などは、おやじとお袋の若い元気な顔を思い出して一寸ほろっとしています。
五、六十年間で世の中は本当に変化するものだと驚くやら感心するやらしているのです。