院長の独り言 291 ; みんな楽して健康になりたいですよね…
あらゆるマスコミ媒体で、健康関連グッツあるいは健康食などが、沢山紹介されています。
あれだけ毎日、広告を出しているのですから、多くの人が購入しているのでしょう。
簡単に腹回りの贅肉(ぜいにく)が落ちて、楽をして腹筋が出てくるなどと、ついつい購入したくなるような歌い文句、殺し文句で視聴者に迫ります。
財布のヒモも緩みます。
ところが、周りの友人から健康器具や健康食品を買ったと云う話は、殆ど聞いた事がありません。
多分、努力をしないで、簡便にダイエット出来る器具を使っている人は、あまり周りに言いたく無いのでしょう。
効果が目に見えてくれば、まだ良いのでしょうけど、逆に太ってしまったりしたら、その無精さを笑われてしまいます。
考えてみれば、知人で劇的に筋肉がついてきた人とか、お腹が見事に引っ込んできた人には、トンと会った事がないのです。
グッツ宣伝の『ビフォー&アフター』では、見事に変身しています。
小生、このところ体力も衰えてきていますし、腹回りも立派になってきました。
友達のドクターに相談しても、『健康だよ。大丈夫!大丈夫!』と言われて、マトモに相手にして呉れません。
実を言うと、私も自転車型のダイエット器具を買い入れて、朝に、晩にと、一生懸命、自転車を漕いでいたのですが•••。
さらに恥ずかしながら、肝臓に良いからとウコンを飲んだり、癌になりにくくなると言われてスッポン錠を試したりしましたが、今は全部、止めてしまいました。
40年前、まだ健在だったお袋が、近所の仲良し友達から、身体の全てに良い(?)という謳い文句の『紅茶キノコ』と云う、魔法の飲み物を分けて貰ってきました。
瓶いっぱいの溶液の中に、キノコの様な茶色の物体が浮いています。
本当に気持ちの悪い、毒キノコのお化けのようです。
その液を一日、何回か飲むと、高血圧、動脈硬化、白内障や歯周病、挙げ句の果ては、癌にならない身体になると、健康雑誌や新聞に当時、大々的に書かれていました。
かくして、日本中で、この『紅茶キノコ』健康法は、大ブームになったのです。
私は『紅茶キノコ』を見た目だけで気持ちが悪くなり、とても飲む気はしませんでしたが、お袋だけは暫く飲んでいたようです。
しかし、いつの間にか、この『紅茶キノコ』は日本中から消えてしまいました。
この『紅茶キノコ』が、健康に関する民間療法の火付け役だったのです。
『紅茶キノコ』をキッカケに、数え切れない程の健康食品や健康器具が、世の中に出まわりました。
健康系雑誌も多く出回っています。
皆さんご存知の通り、アメリカでは、我が国のような健康保険制度がありません。
アメリカの一般庶民は、日本のように気軽に病院にかかれません。
なぜなら、医療を享受するには、目の玉が飛び出るほどの高額な費用が必要だからです。
結果として、日本とは比べものにならない程に、民間療法が人気なのです。
民間療法に過度の期待をするのは、トラブルのもとですね。
アメリカと比べて、われわれ日本人は国民皆保険のもと、高度先進医療を含めてほとんどの治療方法を、誰でも安心して、しかも比較的安価に受けられるので、大変恵まれています。
この保険制度が崩壊しないように、守らなければならないとつくづく思うのです。