院長の独り言 254 ; ああ、勿体ない…
朝のNHK連続テレビ小説『おひさま』で、疎開の場面を見ていたら、小生、突然、66年前、疎開先で意地悪をされた、悲しい出来事を思い出してしまいました…。
この事は、何かに付けて、思い出してしまいます。
トラウマになっているのです。
72年間の人生で、トラウマになってしまった体験は、二度あります。
ひとつは戦中に、母方の祖母の遠い親戚に預けられて、疎開した時、そこで酷い待遇を受け、ヒモジい思いをさせられ、それ以来、満腹の時でも、出された食物は全て食べてしまうという、悲しい癖がついてしまった事です。
もうひとつは、ゴルフ大会の前夜に食べた、鳥貝の刺身に大アタリしてしまい、プレー中、腹を下したり、嘔吐したり、言葉に表せないほどの苦しみを味わい、その結果、大好きだった鳥貝を食べる事が出来なくなってしまったどころか、見るのもオゾマシイくらいになってしまった事です。
鳥貝を見ると、途端に吐き気がすると云うトラウマです。
両方ともに、食べ物関係と云うことで、『食べ物の恨みは怖い』と昔から言われていますが、全く本当ですね。
恥ずかしいけど、意地汚い話で申し訳ありません…。
色気の無い話で恐縮です。
と言った訳で、疎開先の話は今でも憎たらしく思うのです。
一緒に疎開していた祖母と私が寝た後に、隠れてコソコソと、その親戚一家が果物や白米を美味しそうに食べていたと、祖母から聞いたから尚更です。
丁度、私と同い年の男の子がいたのですが、そこのお爺さんとお婆さんがその孫を猫可愛がりし、勝ち誇った、その男の子の顔を思い出すと、全く腹立たしい限りなのです。
そんな事は露知らず、親父がお礼かたがた、しばらく振りに、その疎開先を訪れたのですが、プクプクと太って血色も良いその子と比べると、痩せて色艶の悪い私を見た途端、親父は唖然としたそうです。
何しろ、疎開前の私は、今で言う肥満児寸前の、太った子供だったからです。
親父の唖然とした理由は、自分の子供と祖母が、お世話になっているのは有り難い事ですが、いくら緊急時とは云え、かなりの金額を、毎月『お世話代』として送金していたので、大事に面倒をみていて呉れているものと思っていたのでしょう。
しかし頭を冷やして、今から思えば、意地悪されたとは云え、祖母と二人を受け入れて呉れただけでも、感謝しなければいけないのかも知れません。
その悲しいトラウマが身に付いてしまい、先日も、近所のコンビニで売れ残りのお弁当を、大量に廃棄しているのを目撃した途端、『何故、こんな勿体ない、酷(ひど)い事をしているのか…』と本気で、店員の人に言おうと思ったくらいです。
みんな拾って、食べてやろうかと、一寸ばかり考え込んでしまいました…。