院長の独り言 241 ; 写楽展に行ってきました!
今朝は日曜日の朝。
起きたら天気が良く、上野の東京国立博物館に、予てより予定していた写楽展を見学しに行きました。
息子と一緒に、車で出掛けました。
国立博物館近辺の駐車場は、すべて満車。
午前10時なのに、沢山の人が、写楽特別展に足を運んで来ているのには感心させられます。
やっとの事で、博物館から歩いて15分ほどにあるコインパーキングに、駐車する事が出来たのですが、到着した頃には、結構、気温も高くなってきて、博物館まで汗ばむくらいの良い運動です。
言問通りからは、建設中の東京スカイツリーもジックリと見学する事も出来ましたし、久し振りに、懐かしい上野界隈を見物する事も出来ました。
小生、大学が上野に近かったので、上野近辺にはよく出没していたのですが、50年前と比べると、上野は本当に素晴らしい街になったものです…。
目的の博物館に向かう人の長い列が出来ていたので、入場する前から、館内が混み混みなのは分かっていたのですが、実際、その通りで、歩いてきた上に大勢の人の熱気で、館内に入った途端、頭が少しボーっとしてしまう始末。
『これは気合を入れて見なければ…』と、戦闘態勢に入った私でした。
そう言えば、パリやプラハの美術館では、見物客は疎らで閑散としていた事を思い出します。
我々日本人は向学心が強い事を、改めて感じ入ったのでした。
写楽については、大勢の学者や小説家が、あらゆる面から研究されつくされているので、文献も沢山、出版されています。
要するに、写楽と云う人物は、突然、世に現れて、短期間で歌舞伎役者絵を中心に、多数のユニークな浮世絵を書き、突然、姿を消してしまった絵師と云う事です。
小生、今まで国内外において、写楽の浮世絵を見学していますし、関連本もかなり読んでいます。
しかし、こんなに多数の写楽の浮世絵を、しかも目近で見る事が出来たのは、今回が初めてです。
しかも、当時、活躍していた浮世絵師の喜多川歌麿、葛飾北斎、歌川豊国などの浮世絵と比較するように展示されているので、写楽の描いた人物像が他の絵師と比べて、如何に表情豊かであるのか、よく理解出来ました。
中でも、歌麿の美人画とのあまりの違いには、ビックリしたと云うよりも、よくあのような個性的な描写を、版元である蔦谷重三郎が許したものだと、あらためて感心しました。
多分、この版元の重三郎が、ユニークなこれらの表情を描く事を許したところに、写楽の正体を謎解くカギがあるような気がしてなりません。
本当に、写楽が自ら率先して、あの醜いとも思えるような、個性的な女形を描いたのか、あるいは重三郎に描かされたのか、その辺の研究がこれからの愉しみと云うものです。
そこがハッキリすれば、全ての謎が解き明かされるのではないでしょうか。
写楽が凄いのか、それとも版元の重三郎が凄いのか。
いずれにしても、大勢の見物客に挟まれ押されながら、写楽の描いた第一期から第四期までの、そして、当時、お相撲社会で横綱谷風や大関雷電に伍して大人気だった怪童大童山の浮世絵を熱心に見ていたら、12時をとっくに過ぎていたのでした。
周りの見物客の会話が耳に入ってきますが、『写楽の浮世絵は動きがあって面白い!』と言っている中年男性がいる半面、女性には歌麿の美人画の方が『綺麗!』との事でお気に入りのようでした。
江戸の当時でも多分、同じような評価だったのではないでしょうか。
Kさん、本当に有難う御座いました。