院長の独り言 174 ; 私が大学生や教官であった頃

大学教官の最も重大な仕事の一つは教育ですから、当然、学生を教育して、一人前の歯科医師に育て上げる一翼を担うのです。

昔から医科・歯科系大学に入学して来る学生の経歴は、文科系や理科系の大学生とは異なり、千差万別です。

高校を卒業した後、たとえ浪人したとしても文科系や理科系の大学に入学して来る学生は、殆ど他の職業などは経験していません。

が、私が大学に籍を置いていた45年程前は、歯学部に入って来る学生は、他の大学を卒業してから入り直して来る者や、一旦、社会に出て会社などを退職して入学して来る者も可成りいたのです。

勿論、子持ちも結構いました。

従って、新入生の顔ぶれは、他の大学の学部と比べると年齢が高いのです。

そう云う学生は、自分の将来を真剣に考えての再チャレンジなので、気持ち的に必死です。

それに反して、自分の様に将来の事などあまり考えないで入学してきているノー天気の学生もいて、色々とユニークな友達が出来、大学生活は特に遊び方面(麻雀、囲碁、旅行などなど)では、大変充実?していました。

勿論、落第が嫌なので勉強もシッカリしていましたよ。

その後、大学院を卒業して助手になった事は前のブログで報告済みです。

甘チャンで社会経験もない、若い私は、悲しい哉、大学病院での臨床実習で学生を指導していると、患者さんに小生が学生とされ、教えられている学生の方が教官だと勘違いされるのはいつもの事でした。

小生より、可成り年上の学生を指導する場合も結構あるので、その様な間違いが生じるのです。

年上の学生には、こちらも気後れして敬語で話すので、余計、患者さんに勘違いされて仕舞います。

歯科以外の人生経験は、教官の私より学生の方がズーッと豊富な場合があるので本当に参ってしまいます…。

私の同級生も、子持ちの人が何人もいて、同じ同級生とはとても思えない、しっかりとした人生観を既に身に付けている人もいたのです。

極端な例では、インターンの時など、患者さんから教授と間違えられた友人がいたほどです。

その友達は頭が薄く(頭の上にあるべきものが完全に無い…)、誰が見ても教授と見間違いられるほど貫禄が有るのです。

その『勘違いされている教授』と『学生と勘違いされている教官』と『患者さん』の三者の関係を見て、『本物の教授』も苦笑していました。

何しろ、一般の大学では到底、味わえない様々な体験をし、学生時代も教官になった後も、今に成って振り返ると、本当に貴重な経験をしたものだと懐かしく述懐しているのです。

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