院長の独り言 97 ; 当世子育て事情

結婚して子供が授かると殆どの父親は、その子の将来の成功を祈って、出来るだけ幸運を掴める良い名前を…と、良い字画を解説するその種の本を何冊も買い込むものです。

自分が一生懸命寝ずに考えてつけた名前が、運の良くない名前だと運勢の本に載っていたら、一生、子供や母親に嫌味を言われてしまいそうです。

子供が順風満帆であれば問題ないのですが、人間は良い時ばかりではない訳ですから、ツイていない時など父親のつけた名前のせいにされそうです。

父親に出来る精一杯のサービスは、運勢の本を買ってきて、必死に字画を数えて縁起の良い名前を、生まれてくる子供だけでなく奥さんの為にも無い知恵を絞って考える事なのです。

特に男は出産時、それ位しか協力する術が無いからです。

何せ、女性と違い、男性は子供が生まれてくるのを唯、ドキドキしながら、日に日に奥さんのおなかが大きく成長していくのを見ている以外、全く為す術が無いのです。

何でも良いから役に立ちたいと焦ってしまうものです。

母親にもうすぐなる奥さんの落ち着いて平然としている姿とは対照的に、父親になる旦那の方はと云うと心配そうにソワソワしているだけなのです。

ここで夫婦の力関係が殆ど決まってしまう気がします。

子供の誕生をキッカケに女性上位となる場合も多いようです。

皆さんの場合は違いますか?

さらに、一般的に父親は外で働きますから、子供に身近で働いている姿を見せる事が出来るのは母親だけです。

子供の時は『お母さんは休日が無くて、大変だな~』と思うし、お父さんは家ではいつもゴロゴロしているばかりで、子供にとってみれば『お母さんを召使のように使って、お父さんは全く楽だな…』と思えるでしょう。

しかし、ある時期までは子供は確かに母親側についているものですが、成人して世間の荒波を経験してくると、そうでも無くなってきます。

男女を問わず子供は、父親の重要な存在と役割が理解出来てくるのです。

まあ、『そうであって貰いたい…』と願望します。

事実、家の中では頼りなさそうな父親が職場で働いている颯爽とした姿を見れば、子供の目が輝き、父親に対するイメージが180度変換して尊敬の眼差しになっていくと云うテレビ番組を見た事が有ります。

特に我が家の場合は、子供が自分で働き始めて、他人の飯を食うようになると、余計に父親の大変さが理解出来たようです。

やはり子供の時に、外で働いている父親の姿を一度は見て欲しいと思います。

きっと子供が社会人になった時、特に辛い時に、父親の働いている姿を思い出して頑張る勇気が出てくるのではないでしょうか。

小生も子供の時は、日曜日の父親は朝からズーッと寝ていたと云う記憶ばかりで、そばで騒ぐと母親が『お父さんを起こしてはダメ!』と我々子供たちに注意していた事を思い出します。

今から思えば本当に、親父は仕事でクタクタになっていたのでしょう。

ところが現在は社会の構造が変化し、私の子供の頃と違い夫婦共働きの家庭が多くなってきています。

外の仕事でクタクタになっているのは夫婦お互い様と云った感じです。

ですから、もし夫が自宅で家事を手伝わないとしたら、妻の負担はあまりにも多大だと云う事ですね。

夫婦とも仕事でクタクタになってしまうでしょうから、子供の世話やしつけが少しお座なりになっても、止むを得ないといった感じでしょうか。

子供達の将来が少し心配になってしまいます。

まあ、子供の名前に字画だ、またその手相だなど、関係無い関係無い。

幼児虐待など子供に対する厳しい報道を多く耳にする昨今、お忙しいでしょうけれど子供のあるご夫婦は、なるべく愛情をもって子育てをしてくれる事を祈って止みません。

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