院長の独り言 413;歯周病の恐ろしさ

脳梗塞や心筋梗塞、あるいは認知症と云った血液循環器系の大病と慢性歯周病との関わりが、ここ数年、我が国だけではなく世界的に注目されています。
勿論、良い意味ではなく悪い意味でです。
私が開業した今から40年前でも、歯周病が特に糖尿病を悪化させると言われていました。
その結果、全身に悪影響が及ぶので、歯周病は早期治療を心がけるべきであると言われていました。
汚い話ですが、ひどい歯周病になった人は、毎日毎秒『膿(うみ)』を飲み込んでいるのです。
身体にいい筈がありません。
しかし、この病気が急性化した時は、たいへん痛いし、大きく腫れることもあります。
患者さんも急いで来院してくれるのですが、痛みや腫れがひいてしまうと『治癒したと錯覚して』来なくなってしまいます。
痛みや腫れが引いたからといって、病気が治ったわけではなく、ただ急性症状が慢性症状に移行しただけなのです。
例えて言えば、急性胃炎が慢性胃炎に移行して一見、胃炎が治癒したと錯覚するのと同じなのです。
症状が消えたのを治癒したと思い違いをしてしまう患者さんが実に多いのです。
そのまま放置しておくと、歯周病は治癒したのではなく、深く静かに進行していきます。
一見、元気な人が、脳梗塞や心筋梗塞で突然倒れて亡くなった場合、その人の死因が全く分からず、脳や心臓を解剖して注意深く調べた結果、脳や心臓の血管が詰まっていて、歯周病菌の痕跡が発見され、唖然とする…、ということもあるのです。
少し前までは、歯周病と梗塞とは全く関係がないものと思われていたので、脳や心臓の梗塞で倒れた場合でも、歯周病菌は検査の対象外だったのです。
しかし、歯周病以外の全身疾患が見つからなかったので、まさかと思いつつ歯周病菌をチエックしたところ、歯周病菌が心臓の弁に沢山発見されて『ビックリ』!
歯周病菌は簡単に、体全体に血管を通してバラまかれていたのでした。
そして、歯周病菌が歯肉炎を起こすのと同じように心臓や脳の血管を詰まらせていたのです。
NHKも民放テレビもアチコチの医療番組で特集を組んで、最近は歯周病の恐さを強調しています。
歯周病は口腔だけではなく、がん細胞と同じように簡単に全身に転移するので、本当に恐い病気と云う事です。
予防に励むしかありませんね。
術前

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