わたしの故郷

久しぶりのブログ更新になります、石川高行です。
今日は、非常に寒い一日ですね。
といっても、わたしは籠の中の鳥。
一日中、暖房のきいた部屋の中に籠って、歯科専門誌から依頼を受けた原稿を書いています。
わたしの部屋は13階に在って、原稿書きの気分転換には、コーヒーを入れたり、お風呂に入ったり、お気に入りのジャズを聞いたり、ベランダに出て景色を眺めたりします。
何の因果か、わたしの部屋は、母校である高校の目の前にあるのです。
その母校の校庭は、わたしのベランダの正面です。
後輩たちはこんな寒空の中、元気な声を張り上げて、頑張ってスポーツをやっている。
わたしの住んでいるマンションの敷地には、約20年前の1980年代後半に、保険会社がありました。
その玄関には見事な植え込みがあって、初夏である新緑の季節には、美術の授業で写生をしました。
真冬に新緑の季節のことを書くのは、少しおかしいですが、初夏の日差しが新緑を照らして、桜並木は輝いていました。
友人とキャンバスの絵を揶揄い合いながらも、わたしは結構、真剣に絵を描いていました。
その一つ一つの瞬間が懐かしいです。
あれから20余年、経過して、国立市の大学通りの桜は老いて、中には死んでしまった木もあります。
過ぎた時間は戻らないのは分かっているのですが、ただひたすら懐かしいです。
コートを着込んでも、寒い今日。
そろそろ、ベランダから引き上げる頃合いです。
16歳から自分は何か進歩したのであろうか、ただ肉体だけが加齢して、精神面での進歩はあったのであろうか。
まあ、答えのでない思いは置いておいて、原稿書きに戻らねばならないでしょう。
矢川にいたザリガニ、一橋大学内の雑木林にいたカブトムシやノコギリクワガタやカナブン。
南養寺裏の畑から出土する縄文土器のかけらや石器、城山の土豪跡にいるシマヘビ、多摩川のクチボソやマゴイ…。
わたし以外に知らない、わたしの脳内だけにある、故郷である国立の古い記憶たち。
すべてが思い出に変わって、消えていく…。
結局、なるようにしかならない。
やけに捨て鉢な気分になって、原稿書きに戻るのだろう。
迷ったときは、前に進むしかない。
ただただ進むしかないのだ。
感傷はすぐに冷えるコーヒーのように消えていく…

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