院長の独り言 336 ; 昔は東京湾にたくさんのウナギがいたのですよ!

60年以上前、私が13~14歳の中学生だった昭和25~6年頃は、今では信じられないほどに東京湾の水が綺麗でした。
東京湾に流れ込んで来る川は多摩川と隅田川ですが、その川の上流にも、沿岸にも、工場や住宅が少なかったので、生活用水や工場用水が湾に流れ込んでこなかったからです。
日が暮れて来ると、友達と東京湾の岸辺に行って、夜釣りをしていた時期がありました。
セイゴ(スズキの子供)やハゼは、われわれ子供達でも簡単に沢山釣れました。
一時、うなぎが釣りたくて、釣りたくて、しょうがない時期がありました。
簡単に釣れるセイゴやハゼ、あるいはボラは、面白みが無くなってしまったからです。
ところが、ウナギは滅多にと云うか、全く釣る事が出来ません。
しかも、水の中を覗くと、ウナギの魚影がハッキリ見えるので、どうしても釣りたかったのです。
ウナギの釣り場は、東京湾の岸辺とは違った場所でした。
佃島と越中島の間にある中之島と云う小さな島の石垣の脇です。
ある夜、友達と今日こそはウナギを釣り上げてやろうと、そこへ出掛けたのです。
中之島の場所を簡単に説明しておきます。
銀座、築地から少し東京湾寄りで、月島、佃島と門前仲町の間に、中之島は存在します。
小さな島ですが、橋で連絡しているので、簡単に島に行けるのです。
越中島には東京商船大学があり、学生実習に使う立派な帆船が停泊している事があり、帆船に遭遇すると優雅な姿をしているので、しばし見惚れてしまいます。
現在も、同じ場所に展示してあるかも知れません。
越中島から佃島と反対方向に行った所が、当時は江戸の下町の雰囲気を色濃く残していた門前仲町です。
現在は門前仲町も銀座と同じように、雰囲気はガラリと変わってしまい、近代的ビル群がニョキニョキ建ってしまいました。
場所の説明はこの程度にして、ウナギの話に戻します。
我々が釣り場に行くと、知らない小父さんが、岸から大きな網を海に向かって投げていました。
所謂、『投網』をやっていたのです。
脇の籠に何が入っているのか覗いて見ると、ウナギが10匹ほど獲れていたのです。
『ワァー!すげー!』友達と感嘆と羨望の声を上げたのでした。
小父さんはニコニコしながら、『ウナギは釣り竿では、まず釣れないヨ。網で掬わなければ…』と教えてくれたのです。
ウナギ釣りを諦め、ガックリきていた二人に、一匹ずつウナギをプレゼントして呉れた、60年前の優しい小父さん、本当に有り難う!!
小生は、貰ったウナギをしばらく水槽に入れて飼っていました。
今なら、食べてしまうでしょうが。
本当に懐かしいなぁ~

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