歯界展望3月号のTCH特集に寄稿しました

私の恩師で、東京医科歯科大学 顎関節治療部 部長である木野孔司先生が執筆した『完全図解 顎関節症とかみ合わせの悩みが解決する本』という本が、講談社より出版されました。
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顎関節症は、難病のようにも思える、難しげなこの病名から、その治癒は非常に難しいと思われ勝ちですが、そのような心配はありません。
私も非常勤講師をしている医科歯科大の顎関節治療部では、約70%の患者さんは初診と、1ヶ月後の再診の2回で改善しています。
顎関節症は、病院で治療を行わなくても、自然治癒する人の多い、極めて良性な疾患といえるでしょう。
また患者さん自身の生活習慣が、症状を誘因したり、悪化させたりするので、患者さん自身のセルフマネージメントが必須である生活習慣病でもあります。
特にTCH(Tooth Contacting Habits;日中の上下歯列接触癖)は顎関節症の重要な関連因子として、治療部では注目しています。
TCHとは、いわゆる『くいしばり』とは異なる概念で、奥歯を軽く接している状態も含めての歯の接触癖です。
ある研究によると、上の歯と下の歯が接触している時間は、食事や嚥下、発音時などを含めても、20〜30分間程度であったと報告されています。
入れ歯を何度、調整しても、歯茎が痛くて噛めない患者さんや、歯磨きを欠かさずに行っても、虫歯が多い患者さんは、このTCHによって、顎や歯の負担が過多なのかも知れません。
事実、顎関節症の患者さんでも、このTCHを予防するだけで、治癒する患者さんがとても多いのです。
木野先生の本は、顎関節症の知識を分かりやすく、TCHも含めて教えてくれる、患者さんだけではなく、歯科医師にも有効なものとなっております。
ご参考にしてください。

また歯科医師の方には、歯界展望3月号がTCHの特集記事となっております。
医科歯科大顎関節治療部の7人の歯科医師が協力して執筆しました。
私は『顎関節症治療の戦術と戦略 行動学的因子•精神学的因子への対応』を担当しました。
先生方の日々の臨床の手助けとなれば幸いです。
歯界展望2011年3月号TCH特集石川分担

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