院長の独り言 169 ; この不景気の世の中で、生き方を考える

わが国は20年前にバブルが弾けてからそれ以来、ズーッと不景気と云うか、デフレの風が吹き止みません。

20年間、不景気である事の恐ろしさは、皆さんご存知の通りです。

2年半前にアメリカでも金融不安が起きました。

所謂、2008年9月15日のリーマン•ショックです。

低所得者向け住宅債権(サブプライム•ローン)を束ねて数字をこねくり回し(金融工学と称して…)、さも儲けが出るように仕立て上げ、投資家たちに売り出した金融商品の価格崩壊が、アメリカ住宅公社を経営破綻させ、その巨額の債務が大手都市銀行を含めた、すべての金融システムを停滞させた事件です。

それをキッカケに日本は益々、不景気になるし、ヨーロッパは勿論、世界中の多くの国がひどい不景気に陥ってしまいました…。

過去でも現在でも、ある国の経済活動が活発になりお金が余ってくると、段々とインフレがひどくなりバブル状態を呈し、揺り戻しとして長期のデフレに陥るのです。

小さな好景気と不景気の波ならば経済では良くある事ですが、日本の不動産バブルの時の様に、あまりにも度が進んだ過熱状態になってしまうと、政府が金融の引き締めを行わざるを得なくなります。

人為的に景気の過熱を抑えるのですから、殆どの場合、抑え過ぎてしまう訳です。

丁度、良い具合には上手くいかないものですね…。

あるいはソフトランディングすると、再び金融系会社がバブルを求めて、モラルを忘れ強欲に走り、本当の金融恐慌まで行ってしまうかです。

好景気の波が高ければ高いほどその反動は大きいと昔から云われています。

所謂、格言『山高ければ、谷深し』です。

しかし、われわれ人間は愚かな事ですが、多くの国が昔から繰り返して過剰な好景気と不景気の波を引き起こしているのです。

日本のバブル後のように金融政策を失敗させると、なかなか景気が回復して来ません。

今後、どうなるのか心配です。

歴史をみると、かつてオランダがチューリップバブルになり、一番のピークの時はチューリップ1株の価格が今の値段に換算して100万円以上で取引され、その後、当然の事ですがバブルは弾けてしまい、回復するのに1世紀以上か掛かっているのです。

随分、昔の話ですが、約300年前に江戸時代にも何度か繰り返して好景気と不景気の波が起こっています。

景気が過熱すると引き締めをするのが、時の為政者の常套手段と云う事です。

江戸幕府8代将軍吉宗の時に、金融引き締めが行われました。

世に言う『享保の改革』です。

吉宗の前の将軍の5代綱吉、6代家宣、7代家継の時代のツケを吉宗が払ったと云う事です。

ちなみに家宣は高齢で将軍になり、綱吉の経済活動をそのまま続けただけですし、家継は満6歳で亡くなっているので何もしていないのも同然です。

綱吉の放漫経済が、大変なインフレの災いの原因であるのは明白です。

『生類憐れみの令』は有名ですが、綱吉はその当時、約10万頭の犬を飼っていたと云う記録が残っています。

餌代だけでも大変な無駄使いで、周りから顰蹙をかっていたものと思われます。

『享保の改革』は江戸時代の三大改革の1つですが、後の2つの改革は、『寛政の改革』と『天保の改革』です。

どの改革もその前の放漫経済の尻拭いをしていたのです。

そして、その改革はあまりうまく行かなかったと云われていますが、一応、その中である程度評価されている改革は、吉宗の行った『享保の改革』だとされています。

もし、この享保の改革が無かったら、もっと早く江戸幕府は終焉を向かえていただろうと言われているくらいですから。

現在でもテレビの時代劇では、吉宗は正義の将軍として出て来ます。

吉宗は一言で云えば、引き締め政策を行ったのです。

いつの時代でも、引き締め政策を行った後には景気がしぼみ過ぎてしまう場合が多いのです。

デフレの時よりインフレの時の方が、世の中は華やいでいて、楽しく生活出来るのですから、バブル景気がもたらす物も多いです。

事実、江戸の三大改革の前の時代には、華麗な文化が花開いていますし、20年前のバブルの前は、日本中で活気がみなぎっていました。

八王子の石川歯科の前も、人で溢れていました。

その時の為政者があまりの経済の過熱を心配して、適当なところで押さえようとするのでしょうが、巧く行かないのが世の常と云う事です。

現在の平成バブルの後のインフレ調整は上手くいっているとは思えませんが、皆さんはどう感じているでしょうか。

長い不景気は何時終焉を迎えるのでしょうか。

小生の生きているうちは、無理かも知れませんね。

無理なら、われわれの生き方自体を再考すべきなのでしょうね。

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