院長の独り言 116 ; 若い時は麻雀、少し大人になって囲碁を、そして今は認知症にならない為に…

大学生になったら、是非、経験したかった事は、煙草とお酒と麻雀でした。

煙草とお酒は、入学時の初めてのコンパで、早々に経験したのですが、麻雀は何しろ面子が必要で、4人で卓を囲むのですから、気の合った仲間をまず探さなければならなかったのです。

結局、麻雀を体験したのは、入学してから半年ぐらい経ってからでした。

新学期の授業が始まると、歯学部は理科系の大学ですから、毎日の授業が数学、物理、化学、生物、英語、ドイツ語と大変です…。

ですから、なかなか卓を囲む機会が無かったのですが、ある日、化学の授業が休講になった時、入学してから少しずつ気が合ってきた同級生4人で、大学の近所の雀荘に緊張しながら入ってみたのです。

受付兼オーナーのおばさんが『学生さん達、初めてだネ』と、我々のオドオドした仕草から、雀荘初心者だとすぐに見抜かれてしまったのです。

幸い他にお客がいなかったので、恥を忍んで、初めて雀荘に来た事をおばさんに告げたところ、『好きなようにやって良いから…』とお許しがでたのです。

4人のうち1人だけは麻雀経験者で、その手解きを受けながら、小生としては目出度く、麻雀初体験となりました。

最初のうちはルールを覚えるのが大変で、勿論、麻雀の解説本を買い込んで、一生懸命、大三元、国士無双、四暗刻などの役満とか、一気通貫、清一色、平和(ピンフと読むのです。面白いでしょ)など、沢山の上がる役を覚えなければイケません。

麻雀を知らない人にとっては、何を言っているのかさっぱり分からないと思います…。

また、点数の計算が面倒なのです。

しかし、色々なルールが少しずつ分かってくると、どんどん、ハマってしまうものです。

結局、私もすっかり麻雀の虜になってしまいました。

当時、『こんな面白いゲームは他に無いのではないか!』と思ったくらいですから。

毎週土曜日の夕方になり、その日の授業が終わると、5~6人で雀荘に直行して、徹夜で麻雀をする事が恒例になってしまい、息子の日曜日の朝帰りに、小生の母親も渋い顔をしていました。

地方出身者は大学の寮に戻ると、先輩たちとまた卓を囲んでいたようです。

歯学部に入学してから2年間は、基礎的な数学やドイツ語などの一般教養を勉強し、その後に専門的な解剖学、病理学、細菌学、歯科臨床学などを4年間かけて、教わる事になっていました。

基礎課程の時と比べて、専門課程に入ると実習や実験する授業が大変多くなります。

基礎課程の2年間は麻雀をする時間を作れたので、結構、卓を囲む事が出来たのですが、学部の専門課程に進んでからは、すっかり麻雀をする暇が無くなってしまい、卒業するまでは全くと言って良い程、卓を囲まなくなってしまいました。

医局に入ってから先輩や後輩と、たまに麻雀をする事はあっても、若い頃と違い、体力が無くなってしまい、徹夜麻雀はノーサンキューと云う事になってしまったのです。

入局してからは、もっぱら麻雀の代わりに、囲碁を打つ機会が多くなり、この囲碁もなかなか捨て難く、仕事が終わった後、他科の医局に出向いて熱戦を繰り広げたものです。

歯科治療は本当に緊張の連続です。

特に、歯科医師ひとりで治療している個人開業は、緊張感倍増です…。

医局を離れ、当院を開業してからは、治療が終わって帰宅すると、酒を少し飲んで、そのストレスを緩和していたのですが、歳とともに酒も弱くなってしまい、最近は、もっぱら囲碁やゴルフなどの趣味をする事で緊張感を和らげている訳です。

また、いま現在は、当院の職員の数が増え、それぞれが担当分野をしっかりとカバーしてくれているので、小生の心のゆとりも出来てきました。

趣味を持つ事は、忙しく緊張している時はストレス緩和の為に役に立ちますが、歳を重ねて仕事がひと段落してからは、己を知る手段ともなり得ます。

更に囲碁やゴルフは、認知症の予防にもなるかも知れませんネ。